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大学初年次の基礎数学 e-Learning 環境の拡張
-最新デジタルコンテンツの取り入れ-

亀田 真澄 ・ 山口東京理科大学

(第3期 MOST フェロー)

平成26年度から山口東京理科大学(以下,TUSY とする)は4学期制に移行する。この学期制度移行に対応して,大学初年次対象の数学リメディアル教育「基礎数学」は,正規授業が第1学期に複数クラスで実施され,引き続き必修クラスの不合格者は第2学期に実施される補講授業を受講する履修方法に変更・対応される。いままで実施してきた基礎数学で提供していた e-Learning 環境をこの学期制度移行に対応させたシステムに再構築し,さらに新たに開発されたデジタル・コンテンツ(ツール)を取り入れ,より教育効果が上がる環境作りを行う。この教育環境の運用・実績などを報告する。

対象となる実践について

 大学初年次の数学科目「基礎数学」を対象にした実践である。この科目は数学リメディアル教育であり,学科・成績別に従って4クラス同時に開講する。なお,成績編成クラスは入学直後のプレイスメント試験(紙ベース)による成績によって上位・下位に分割する。また,同一のシラバスと教科書に基づいて授業が実施される。

 平成26年度から4学期制を取り入れることになり,基礎数学は第1学期に正規授業を開講し(表1「第1学期」),第2学期に教員Aと著者が担当したクラスの不合格者が引き続き合同の補講授業で受講する(表1「第2学期」)。補講授業の不合格者は来年度以降の同授業を再履修することになる。

 担当した実践授業は,第1学期に開講した学科M下位クラス対象の正規授業と第2学期に開講した学科M補講クラスの合同授業の2つである。

 目標は全員合格です。

表1: 基礎数学の開講クラス表
  学科M
(必修)
学科E
(選択)
学科K
(選択)
第1学期上位 教員A 開講せず 開講せず
下位 著者 教員B 教員C
第2学期補講 著者 開講せず 開講せず

【授業関連サイト】

プロジェクトの動機

 大学初年次の数学教育において,対面授業のみで学習環境を構成していたが,教育の質保証に対しての確信が薄れていた。
 近年において,パソコンの進化,インターネットの普及,そして学習管理システム(Learning Management System; LMS)の開発が実行されてきた。LMS のメインソフトウェア Moodle (サイト[7])の出現,数学教育向けソフトウェアであるオンライン数式解答評価システム STACK (文献[1],サイト[4])と数式処理システム Maxima (サイト[6])の連携による実践利用が実現でき,さらに Web ページにおける数式表示に対して,言語 AMS-LaTeX (サイト[1])と JavaScript MathJax (サイト[5])の連携環境が整い始め,さらに進化している状況である。
 この状況下において,平成24年度に数学 e-Learning 環境を取り入れた。これは対面授業を実行した後,教室で習得した数学知識を確認・評価する目的でオンライン・小テストを実行する教室外の教育環境を提供した。これにより教室外の学習時間の増加を受講者のサーバー・アクセス等で可視的に確認できる状況となり,学習成果物(オンライン・小テスト問題・評点など)を受講者・指導者共に即時共有できる環境が作り上げられた。これが数学教育の質保証を可視的に確認できる環境に作り上げた(文献[2],[3],[4])。
 しかし,数学的な学習効果を著しく向上させた状況ではなく。まだ,未熟な教材コンテンツであると考えている。
 最近,オープン大規模オンライン講義 (Massive Open Online Course; MOOC)の一つである edX (サイト[2])に取り入れられている教材コンテンツでは,効果的に映像コンテンツが利用されている。この効果的と思われる映像を数学学習コンテンツとして取り入れたいと考えた(実際には計算過程を順次表示させる動画を検討中)。
 また,視覚的な数学教材コンテンツも取り入れたい。これは幾何、代数、解析を1つに結びつけた動的数学ソフトウェア GeoGebra (サイト[3]) を利用して,数学の電子テキスト等にコンテンツを混合させて,直観的に理解できる教材コンテンツを作成していきたいと考えた(新規デジタルコンテンツを参照)。

プロジェクトの目標

 平成26(2014)年度 e-Learning サイトにおいて豊富な教材コンテンツを増設していく。

  1. 通常の教材コンテンツを増やすことである。これは従来通りの4つの概念:「論理性」,「動的」,「美的」,「迅速性」をもつ教材コンテンツ(電子テキスト,オンライン・小テスト等)を増設する(文献[2-4])。
  2. 新規に,4つの特性:「可視化」,「自動化」,「共有化」,「高度化」をもつデジタル教材コンテンツを増設させる。
  3. 第1要素は,動的数学ソフトウェア GeoGebra を利用したビジュアル教材コンテンツを挿入する(サイト[3]))。
  4. 第2要素は,edX サイト(サイト[2])で利用されている3分間映像と同等な効果を持つ計算過程などを映像化した動画を挿入する。

方法について

 第1学期に担当した正規授業AM下位クラスでは,15回の対面授業と1回の定期期末試験を実行する(週2回ペースで授業実施)。また対面授業と合わせて e-Learning 環境を構築して融合型授業 (Blended Learning)を提供した。特に e-Learning において各学習単元に合わせたオンライン小テスト(e-Test)を学習者の自主的な学びとなるように提供した。 なお基礎数学のシラバスはサイト[8]で公開される。 

 第2学期に担当した補講授業では,対面授業は実施せず,履修者が希望する時間に受験できる e-Test にて,全ての e-Test に合格レベルに達することが単位合格とした。この学習形態は第1学期の受講済授業の経験,教科書による反復自己学習,研究室への質問訪問による旧来型の授業形態に加えて,専用サイトで配信されているオンライン・テキスト(e-Text),電子掲示板でインタラクティブな質疑応答によるネットワークによる授業形態を重視した。

 e-Test は PDCA サイクルとなるように提供した。すなわち【Plan】 必要な数学知識を対面授業で取得する。教師は単元ごとに学習知識を問うように e-Test を作成する。 【Do】 学習者は希望する時間・場所からインターネットに接続した PC で受験する。 【Check】 サーバは受験終了直後に自動採点を行う。学習者は採点結果を振り返る。教師は全体と各問題の平均で学力を分析るする。 【Act】 学習者と教師は採点結果をネットワーク上で共有する。さらに学習者は合格点(第1学期で80点,第2学期で60点)以上であれば次の学習単元へ,不合格以下であれば30分間の受験間隔を取って再受験を繰り返す。

 e-Text と e-Test には視覚的な要素を取り入れている。すなわち数学関数グラフを生成するソフトウェア(gnuplot, Graph.tk, GeoGebra)を利用して,数学知識を学習上で補助できるようにしている。

 授業実践と全般において,協力者の方々からの協調的な技術サポートを受け入れながら,数学 e-Learning 環境を飛躍させる。また,授業実践と同時に,第3期 MOST フェローの方々からの客観的な視野に立ったピア・インストラクションを受けて,数学 e-Learning 環境及び対面授業の質を向上させる。

 単位評価実行後,数学 e-Learning サイト利用における学習データ(アクセス件数,オンライン・小テスト評点など)を集計・分析し,数学 e-Learning 環境の教育的効果を分析する(ラーニングアナリティクス)。期末試験との学習分析も行う。

 これらの教育的成果・問題などをまとめて,学会・研究会などにおいて研究成果を発表したいと考えている。


【エビデンス】

  • 数学 e-Learning サイト利用状況(アクセス件数,オンライン・小テストの評点,同受験件数,同受験時間など)による教育的効果の検証
  • 受講者の期末試験(紙ベース)評点との利用状況・利用実績との教育的相関の検証
  • 受講者からの授業アンケートによる集計分析(集計結果は平成27年度から公開・利用可能になる)
  • 学会・研究会における発表を対する意見・問合せの内容
  • 学会・研究会への教育工学的研究の論文投稿

協力者・ピアレビューについて

【協力者】

  • 宇田川 暢: 山口県立大学 SE,実践 e-Learning 環境のハードウェア助言者かつ共同研究者である。
  • 中村 泰之: 名古屋大学大学院情報科学研究科複雑系科学専攻准教授,科研費基盤研究(B)研究課題14499864「数学オンラインテストの解答過程追跡型学習データ解析を基盤とした知識構築のモデル化」(平成26年~29年)の代表者である(計6名による共同研究)。

【ピアレビュー】

  • [2014/03/19] 第3期 MOST フェロー第1回ミーティング
     http://www.highedu.kyoto-u.ac.jp/kyoten/news_archive/news20140319.html (参照日: 2015/03/26)
  • [2014/03/19~2015/03/31] 「第3期 MOST フェロー」サイト活用
     https://most-keep.jp/portal/ (参照日: 2015/03/26)
  • [2014/08] 第3期 MOST フェロー第2回ミーティング(合宿)
     http://www.highedu.kyoto-u.ac.jp/kyoten/news_archive/news20140820.html (参照日: 2015/03/26)
  • [2014/09/02] 亀田真澄,宇田川暢: 『Moodle による e-Learning における数学ソフトウェアの活用事例について』,京都大学数理解析研究所主催研究集会「数学ソフトウェアとその効果的教育利用に関する研究」,京都大学・数理解析研究所
     発表用ページ表示
  • [2014/09/11] 亀田真澄,宇田川暢: 『大学初年次における自動化された数学オンラインテスト等による自主的学修時間の可視化及び分析について』,教育システム情報協会(JSiSE)主催第39回全国大会,和歌山大学
     抄録表示;  スライド表示
  • [2014/09/19] 亀田真澄,宇田川暢: 『ゲーミフィケーションを探る数学 e-Learning の試みについて』,日本教育工学会(JSET)主催第30回全国大会,岐阜大学
     抄録表示;  スライド表示
  • [2015/02/20] 宇田川暢,亀田真澄: 『数学 e ラーニングを体験しよう』ワークショップ,日本ムードル協会(MJA)主催 Moodle Moot JAPAN 2015 大会,京都産業大学
     抄録表示;  講習用コースページ表示
  • [2015/02/21] 亀田真澄・宇田川暢: 『Moodle2 による数学基礎の e-Learning の取り組み』,日本ムードル協会(MJA)主催 Moodle Moot JAPAN 2015 大会,京都産業大学
     抄録表示;  スライド表示
  • [2014/03/14] 亀田真澄・宇田川暢: 『数学 e-Learning における PDCA サイクルの多面化について』,京都大学・高等教育研究開発推進センター主催 第21回大学教育研究フォーラム,京都大学
     抄録表示;  スライド表示
  • [2014/03/14] 第3期 MOST フェローシッププログラム修了式
     http://www.highedu.kyoto-u.ac.jp/kyoten/news_archive/news20150314_3.html (参照日: 2015/03/26)

参考文献・参考サイト

【参考文献】

  1. 中村 泰之: ``数学 e ラーニング-数式解答評価システム STACK と moodle による理工系教育",東京電機大学出版局,東京 (2010)
  2. 亀田 真澄,宇田川 暢: ``Moodle, TeX, STACK による数学 e ラーニングの取り組み”,日本ムードル協会 Proceedings of Moodle Moot Japan 2013,pp.22--27 (2013)
     論文表示
  3. 亀田 真澄,宇田川 暢: ``大学の数学教育に対する主体的な学びとなる学習環境作り",私立大学情報教育協会(JUCE) 論文誌「ICT 活用教育方法研究」,第16巻第1号,pp.36--41 (2013)
     http://www.juce.jp/archives/ronbun_2013/07.pdf
  4. 亀田 真澄,宇田川 暢: ``大学教養講義である「微分積分学」の融合型授業に対応した e-Learning の実践例",東京理科大学紀要(教養編),第46号,pp.203--217 (2014)
     論文表示
  5. 亀田 真澄,宇田川 暢: ``工学系の大学初年次に対する線形代数 e-Learning の実践例について",東京理科大学紀要(教養編),第47号,pp.235--252 (2015)
     論文表示
  6. 亀田 真澄,宇田川 暢: ``Moodle による e-Learning における数学ソフトウェアの活用事例について",RIMS 研究集会「数学ソフトウェアとその効果的利用に関する研究」講究録,プレプリント (2015)
     論文表示

【参考サイト】

  1. AMS-LaTeXhttp://www.ams.org/publications/authors/tex/amslatex (参照日: 2015/03/26)
  2. edXhttps://www.edx.org/ (参照日: 2015/03/26)
  3. GeoGebrahttp://www.geogebra.org/cms/ja/ (参照日: 2015/03/26)
  4. Ja STACK.orghttp://ja-stack.org/ (参照日: 2015/03/26)
  5. MathJaxhttp://www.mathjax.org/ (参照日: 2015/03/26)
  6. Maximahttp://maxima.sourceforge.net/ (参照日: 2015/03/26)
  7. Moodle Pty Ltd [AU]https://moodle.org/ (参照日: 2015/03/26)
  8. 基礎数学シラバスhttps://class.admin.tus.ac.jp/up/faces/up/km/Kms00802A.jsp (参照日: 2015/03/26)
  9. Graph.tk: http://graph.tk/ (参照日: 2015/03/29)

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