Phrase Reading Worksheetを利用した英語授業の設計 神谷健一(大阪工業大学)

教授法・教材・学習活動

本実践の背景と授業での実践事例について、Phrase Reading Worksheetの活用を中心にまとめます。

Phrase Reading Worksheetとは

    1. 英語+日本語のプリント(以下2列プリントと呼称)を配付し、目を通すことを予習として指示。
    2. 教員用マニュアル(以下TMと呼称)の日本語訳と2列プリントを配付し、こなれた日本語訳と英語の語順の違いに気づかせる。
    3. TMの日本語訳と部分的に消去した2列プリントを配付し、徐々に予習で埋める範囲を増やしていく。この段階から授業時に完成版の2列プリントを配付し予習チェック等を行っていく。
    4. TMの日本語訳と英語1列のプリントを配付し、全ての箇所を埋めさせる。
    5. TMの日本語訳を配付せず、英語1列のプリントの全ての箇所を埋めさせる。
    6. 日本語1列のプリントを配付して教科書の英文を右側に書き写させる。
    7. 左側に日本語、右側に英語の部分消去型を作成し、予習範囲を少しずつ減らしていく。
    8. プリントのフレーズや教科書本文を利用した英借文にチャレンジ。 
  • このような方法は教室内の学力格差にも柔軟に対応することができると考えています。例えば「英語と日本語」の両方が入ったプリントでも、縦2つ折りにして、英語だけを見ながら日本語を上から順に言っていくという練習を行っている学生の隣で、英語が得意な学生は日本語だけを見ながら英語を上から順に言っていくという練習を行うことも可能です。

 

参考文献

  • 溝畑保之(2000)「四技能の統合ー環境問題を取り上げて」『より良い英語授業を目指して 教師の疑問と悩みにこたえる』(斎藤栄二・鈴木寿一編著)大修館書店
  • 神谷健一(2011) 「Phrase Reading Worksheetと種々の副教材を使った授業設計 -教室内学力格差への対応を目指して」日本リメディアル教育学会 第7回全国大会 発表予稿集 pp.167-168

素材として利用した英文について

  • この授業では教科書として『Step Up with Movie English 映画で学ぶ大学英語の基礎』(井村ほか編著、金星堂)を指定しており、Phrase Reading Worksheetとして配布した英文は全てこの教科書に掲載されているものです。この教科書の前半は映画 Pay It Forward(邦題:ペイ・フォワード)、後半は映画 Night at the Museum(邦題:ナイトミュージアム)を素材としており、それぞれが7つのユニット(最初のユニットは導入説明)で構成されていることから、それぞれ6本ずつの英文を利用することができます。著作権の都合上、英文そのものはここに掲載することができませんが、映画のそれぞれの場面から [About the theme...] [In the scenes...] [Get into the story...] の3つに再編集した形でまとめられています。
  • 学生にはこれらの内容のうちの大半をPhrase Reading Worksheetの形で事前に配布し、別途指示する形で予習・授業中の取り組み・復習の中で利用します。また、授業時には教科書に収録の練習問題や、別の形式のプリントなども使いました。
  • 今年度のPhrase Reading Worksheetのレイアウトは以下の通りです。(「学期開始時点での授業計画」と併せてご参照下さい。また、授業中の具体的なプリント利用の事例は「授業記録ブログより転載」のページにまとめています。)
    • 教科書Unit 2〜4: 英語のみが入ったPhrase Reading Worksheetを予習用に配布。
    • 教科書Unit 5〜6: 英語と日本語が入ったPhrase Reading Worksheetを予習用に配布。
    • 教科書Unit 7: Phrase Reading Worksheetの配布なし。
    • 教科書Unit 9〜11: 日本語のみが入ったPhrase Reading Worksheetを予習用に配布。
    • 教科書Unit 12〜13: 英語と日本語が入ったPhrase Reading Worksheetを予習用に配布。
    • 教科書Unit 14: Phrase Reading Worksheetの配布なし。

授業設計と授業中の活動

  • 前期「受信英語Ⅰ」では大学生にふさわしい英文読解力の養成として「後戻り読みからの脱却」を、また後期「受信英語Ⅱ」では左側のコラムでも述べたような方法で教室内の学力格差にも対応しつつ「教科書本文を応用した英借文」に重きを置いた設計を大きな流れの中に位置づけました。そしてそれぞれのUnitの英文を使いながら、以下のような活動を行いました。括弧による添え書きで「授業記録ブログ」の記述と対応していますので、詳しい紹介はそちらをご参照下さい。(もちろん一度紹介した方法はその後もずっと学習に組み込んで欲しいという希望も込めています。)
  • 前期
    • 映画全体を日本語字幕で視聴する。(→第1回・第2回)
    • Phrase Reading Worksheetの使い方を知る。(→第2回)
    • 注意すべき表現、意味の分からない単語のチェック、チャンクで覚えたい表現を探す作業を探しノートにまとめる。(→第3回)
    • 疑問点はすぐに質問する。(質問カードの提出と授業始めの回答、教室巡回時の口頭での質問はポイントシールで対応)(→第3回)
    • 映画を日本語字幕・英語字幕・字幕なしで切り替えながら、ディクテーションなど教科書で学んだ内容と関連のある学習を行う。(→第4回)
    • ペアで対話練習。(積極的にやっているチームには「ごほうびシール」を配布)(→第5回)
    • ゆっくり読み上げたものを聞く、難しい単語にチェック、直読直解のためのコツを学ぶ。(→第5回)
    • 映画のテーマに関して英語で説明する練習を行う。(→第6回)
    • 映画についての情報サイトを参照する。(→第7回)
    • 後戻り読みをさせないため、Phrase Reading Worksheetに少しずつ大きな○を書いていく。(→第7回)
    • 片言英語からの脱出を見据えて「大きな塊」を知る。(→第7回)
    • 映画のセリフをスピードを落として聴く練習。(→第8回)
    • 中間テスト(→第9回)
    • セリフの中で文法上、解釈が難しい部分を取り出して文法訳読式で解説。(→第9回)
    • 自分で言いたいことをより長い英語で表現できるようにするという観点での文法学習。(→第10回)
    • 普段から書きためている「自分で使えるようになりたい例文集」をノートチェックにて確認。(→第11回)
    • 直読直解のために必要な(従来の学校英文法とは異なる観点での)文法の捉え方を知る。(→第12回)
    • 日本語字幕で別の映画作品を視聴し、英文サイトから得た情報を日本語でまとめる。(→第13回)
    • 口語英語の特徴を知る。(→第14回)
    • 期末テスト(→第15回)
    • 映画DVDに収録されているメイキング映像などを視聴する。(→第15回)
  • 後期
    • 日本の大学生の英語力を正確に測定することのできる信頼性の高いテストを受験する。(→第1回)
    • 映画全体を日本語字幕で視聴する。(→第2回・第3回)
    • 映画DVDに収録されているメイキング映像などを視聴する。(→第3回)
    • 疑問解消報告カードの利用。(→第3回)
    • Phrase Reading Worksheetと教科書本文を利用した英借文の練習。(→第4回)
    • 英借文の別解は質問カードで尋ねさせる。(→第4回)
    • 英会話に繋げるためのコツを言語学の手法を交えながら学ぶ。(→第5回)
    • 英作文などの学習到達度を自己評価する。(→第6回)
    • 英語の「型」について知る。型破りとは何か。型崩れとは何か。(→第7回)
    • 洋楽を利用した英語学習について。(→第8回)
    • 公式カンニングペーパーを利用した中間テスト。(→第9回)
    • 英作文で間違えた問題の「敗者復活」。(→第10回)
    • Phrase Reading Worksheetを参照せずに自分で英文を意味のまとまりごとに区切ってみる。(→第10回)
    • 英語→日本語で言えるようになりたい表現、日本語→英語で言えるようになりたい表現をまとめる。(→第10回)
    • 英語→日本語で言えるようになりたい表現、日本語→英語で言えるようになりたい表現をきちんと翌週にも再現できるかを確認。(→第11回)
    • メトロノームを利用しながら後戻り読みをしないような練習を行う。(→第11回)
    • 英語→日本語で言えるようになりたい箇所と日本語→英語で言えるようになりたい箇所を分けて学習する。(→第12回)
    • 他の学生の質問への回答から英作文のコツを学ぶ。(→第12回)
    • 1年間の英語学習を振り返る。(→第13回)
    • 字幕翻訳にチャレンジ。(→第13回)
    • 未知の内容の英文をWPM(Word per minute)で100程度で読めるかを確認。(→第13回)
    • 日本語字幕を参照しながら英語のセリフに耳を傾ける。(→第14回)
    • こなれた日本語訳を横に置きながら、単語を1語ずつ意味を取っていく練習。(→第14回)
    • 公式カンニングペーパーを利用した期末テスト。(→第15回)

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