Phrase Reading Worksheetを利用した英語授業の設計 神谷健一(大阪工業大学)

 

実際の授業(後期 第11回〜第15回)

毎回の授業終了後に記録していた授業記録ブログの内容を時系列順に並べ直したものを転載します。(字数制限(?)の都合上、2ページに分割します。)

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第11回 12月5日
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  • 前回の学習記録用紙(前回の授業記録からリンクあり)を返却し、出席カード(全員一律)を配布。
  • 授業開始時間直後から学習記録用紙を縦に2つ折りし、各自がこの用紙に書いた内容を使い、ペアで英語→日本語と日本語→英語のクイズの出し合いを実施。そして出席カードの裏面上半分に ① 英語→日本語の再現率 ② 日本語→英語の再現率 ③ ①②を高めるにはどういう練習が必要か自由記述 で書くことを求めた。そしてこの練習を授業開始後15分まで実施。また、この途中で教室を巡回して口頭での質問を受け、質問者にはシールを配布。
  • 質問コーナーでは前回、大量の「中間テストの英作文問題のお直し」に関する質問があり、問題番号ごとに並べ替えたものを順番に書画カメラに出しながら、各自の間違った答えのどこがおかしかったかを説明。(実は正しい答えを知ることよりも、こちらの方が大事な学習だと思っている)しかし中には解けなかった問題について、答えを誰かから聞いてそのまま書いたという質問カードや、この対象としない単語問題の正解不正解について提出しているものもあり、これらはもちろん加算対象外。また、テスト問題と関係のない質問も少し寄せられた。
  • 次に前回配布した教科書Unit 12のPhrase Reading Worksheetを使い「メトロノーム読み」を実施。これは http://www.youtube.com/watch?v=qWwDqYWosdw のようなもので、Phrase Reading Worksheetの英語フレーズ部分を各行の長短にかかわらず同じテンポで読むという練習。YouTubeに上げている動画ではTempo=75だが、教室ではTempo=80, 90, 100を試すことにした。最初のページは80、次のページは90、そして次の2ページは100という形。理想的には120ぐらいで読めるようになってほしいが、当面の目標は100ということにし、メトロノームのアプリなどを各自が使いながら、この授業のプリントだけでなくブリッジ・イングリッシュ1で使ったプリントなどでも試して欲しいという話をした。そして出席カードの裏面下半分に ④ メトロノーム読みについて/直読直解(後戻り読みしない読み方)ができつつあるか? を回答してもらった。この出席カードの裏面に記載してもらった内容は次回の授業の冒頭で書画カメラを使って全員に共有する予定。
  • 続いて教科書の単語問題と答え合わせ。
  • 教科書の映画シナリオを使った単元は今日のテーマは「けんかの仲裁に入ったり、説得を試みたりしてみよう。」というもので、登場人物の表情やその場での気持ちを考えながらどういう音の上げ下げになるかということを観察しながら進めていった。まずは該当部分の映画を日本語字幕で視聴し、次に字幕なしで視聴。そして教科書の映画シナリオ部分を書画カメラで写しながら、この部分の音源からリッピングして台詞毎に2秒ずつのポーズを入れたものを聴き、音の上げ下げを書き込みながら台詞の「パラ言語的特徴」(この用語も紹介して簡単に説明)について補足説明を加えた。また、書き込みが終わった段階で再度映画を視聴。2限の方は質問コーナーの件数が多く長引いたためにやや時間が足りなくなってしまったが、このような流れを2つの場面で実施。
  • 来週までの課題として配布した教科書Unit 13の本文のPhrase Reading Worksheet(対訳入り)を熟読してくることと、「補助学習いろいろ」プリント(英借文や文法的な観点での学習、また教科書本文を使わずに回答する英作文などいろいろな問題を載せたプリント)を次回までに考えてくることを指示し、終了。


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第12回 12月12日
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  • 出席はカードリーダーにて。先週の2限の授業で「ピ逃げ」(カードリーダーに学生証をかざしたのに教室にいない学生がいた)が発覚したので、そのことを警告する旨も板書しておいた。)
  • 前回の出席カードの裏面を全員分、書画カメラで提示して学習アドバイスなど。さらに続けて前回の質問カード。質問カードの方は加算上限はあるものの、毎回1枚ずつ提出してもまだ満点にならない程度なので毎週提出枚数は多いが、中間テストで取りこぼした分の敗者復活的な意味も含め、ここ数週間とても提出枚数が多い。そんなこんなでここまでで30分ほど消費してしまった。(この科目では授業内容に関係する質問に限定しているので、どういう切り口からでも教材での学習を深めることができる。だからこれでいいと思っている。質問は大歓迎。)
  • さすがに30分も話を聞きっぱなしで疲れを見せる学生もいたようなので、少しだけ休憩時間。これは自分自身の休憩時間でもある。そして前回やったようなメトロノーム読みをやることを予告し、これを少しでもやりやすくするよう、まだプリントに目を通していない学生は目だけでも通すように指示。(宿題でプリントを熟読してくるようには指示していたのだが、読んできてくれただろうか?)
  • メトロノーム読みはテンポ70〜テンポ120まで10刻みで合計10分ほど流しながら、時々学習アドバイスを挟んだ。基本的にフレーズ単位での読解を止まらずにできるようにすることが目的だが、日本語→英語で同じことをやっても全然問題ない。そしてメトロノーム読みのあとで再度ゆっくり確認する時間も設けた。ここではPhrase Reading Worksheetの英語と日本語のそれぞれの欄の間に「←」や「→」を書き込ませた。これは学生の好みで「これは英語から日本語で言えるようになりたい」「これは日本語から英語で言えるようになりたい」ということを表す記号で、自分で選んだものが言えるようになったかをいつでも確認することができる。
  • 続いて前回の授業記録のところからもリンクを貼っている「補助学習」のプリントを全て実施。宿題としてやって来ている学生とそうでない学生がいたようだが、特に区別はしなかった。そして英作文に関連する問題はいつものように1問あたり3名ずつ、前に書きに来てもらった。今日は問題数が多く、1限も2限も全ての枠が埋まることが多かったので、「ご褒美シール」を大量に消費してしまった。また、単語1カ所だけが異なる2つの英文の意味の違いを尋ねる問題については「意味の違いが説明できる」「どこが見分けるポイントなのかが説明できる」「品詞で説明できる」といったように手を変え品を変え問題を出し、分かったグループは手を上げさせて答えを聞きに行き、正解したらご褒美シールをチーム全員に配るということを行った。
  • 書きに来てもらう英作文の答えを添削するという作業は骨が折れるが、学生がどういう発想で英文を作るのかが分かって非常に楽しい。添削と模範解答を説明したあとでさらに別の答えを思いついたら質問カードに書いて提出してもよいということにしているが、そちらの方もなかなか面白い。単純にポイント稼ぎということではなく、いろいろと深い質問も出てくるので。
  • 教科書の単語問題までは進めなかったが、次回、年内の最後の授業では単語問題、会話スクリプトを利用した学習、そして教科書の最終Unitにも入る予定。年明けの授業が2回しかなく、最終回は期末テストをやるので、実質あと2回。最終章の英文は以前にもやっているが、Phrase Reading Worksheetに頼らない英文読解という形で進めることになるので、なるべく自力でスラッシュで区切りながら目を通しておくように指示して終了。


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第13回 12月19日
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  • 授業開始時間と同時に教科書の単語問題をやることを指示。3分ほどしてから答え合わせ。
  • 質問コーナー。先々週ほどではないが先週もかなり質問が多かったので、質問コーナーが終わったのは授業開始後40分ほど経ってからだった。学生が考えた前回のプリントの問題の別解案が正しい英文になっているかどうかという質問が多かった。
  • ここでようやく出席カードを配布。裏面に「今年1年の英語学習を振り返って」というテーマで一言書いてもらった。今年1年といっても大学入試よりも前のことを含めてもよいこととし、対象科目もこの受信英語だけではなく発信英語・ブリッジイングリッシュI/II、英会話レッスンや通信教育などを含めても良いということにした。また、大学生にふさわしい英語力として繰り返し話している直読直解などができるようになったか、また、1年前の英語力と比べて今の英語力はどうかなど、取り上げる観点は自由ということにした。そしてしばらくこれを書く時間を設けてから次のタスクへ。
  • この授業は映画を使う授業だが、前期の最初からまだ一度も日本語吹き替えでは見ていなかった。英語の勉強なのでこんなものは必要ないと思っていたが、ちょっと使い道が見つかったので、吹き替えで5分ほど映画の中のシーンを再生。次に英語音声、字幕なしで同じ場面を再生。そしてようやく今日の学習課題。教科書にはこの場面の後半の対話スクリプトが載っており、これまでいろんな使い方をしてきたが、今日は「字幕翻訳にチャレンジ」ということにして、なるべく短い言葉で場面を表すように指示。これをいきなりやってもよいのだが、予め実際の台詞がどんな感じなのかがわかるように吹き替え版を使った。そのまま訳させてもよいが、やはり話し言葉の雰囲気は大切にしたい。ちょっと甘いやり方なのかもしれないが。しかし最初に吹き替え版を使った時は字幕翻訳にチャレンジするということは予告しなかったので、きちんと聞いていない学生もいた。そこで2回目の吹き替え版の利用。そして最後に日本語字幕を表示して、各自が書いた内容と比較させ、訳し方で質問があれば受け付けるという形でやってみた。
  • この取り組みが終わった後で先ほど書いてもらった出席カードを回収し、シャッフルしてから全員分のカードを書画カメラで提示しながら読み上げ、コメントを入れていった。どういうわけか1限と2限では書いている雰囲気が違うようで、2限の方には「高校時代よりも英語力が下がった」というように書いている学生が多かった。逆に1限にはそういう学生はほとんどおらず、むしろ大学生らしい英語の学習ができたというコメントが多かったのだが…。まあこういう時に過小評価しがちなのも日本人的特徴と言えるのかもしれないけど。
  • 最後に10分弱の残った時間で教科書の最終章の英文を3分間で読むよう指示。これはこの授業で目標にしてきた直読直解ができるようになりつつあるかの最終確認ではあるが、3分間ではまだ読めないという学生も多かった様子。(ちなみに自分でもゆっくり目に読んでみたら1分36秒だった。)
  • 授業自体は年明けにあと1回だけで、もう1回は試験(成績の30点分、30分程度)と「お楽しみ映像」の視聴の予定。映画「ナイト・ミュージアム」のDVDの2枚目には大量に特典映像が入っているのだが、これらを見る時間があまり取れなかった。去年も同一の授業をやっているのだが、このときは隔週ぐらいで短い特典映像を見ていたのだが、今年のこの授業ではこれが質問コーナーに置き換わってしまったような気がする。まあどちらもそれなりに有意義だと思うのだけれど。ついでに前期に補講としてやった内容だが、撮影上のミスなどをまとめた英文をiMDBから探してきて講読してみるのも楽しいかも、と思っている。


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第14回 1月9日
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  • 出席記録はカードリーダーにて。
  • まずは来週のテストについての告知から。中間テストの時に行った「公式カンペ」を今回も導入することを宣言。10分間で書き写すことができる程度の分量にまとめておく事前準備を推奨しておいた。出題方法として英借文、字幕翻訳っぽい出題、フレーズ英訳、フレーズ和訳、単語問題(教科書の出題形式)、イントネーション書き込み(これは出題しないかもしれない)、単語毎の直読直解などで合計30点分、30分程度の試験をやる予定。
  • 続いて質問コーナー。1限も2限も前回の授業終了時に提出された質問カードは数枚ずつに落ち着いたが、授業中にも提出があるのでそれなりに盛況だった。そして両時限とも授業中の口頭での質問(シール配布)も結構寄せられた(特に2限の方は多かった)。
  • ここまでで最初の15分程度。いろいろ説明をするという意味での「授業」は今日が最終回(次回はテストと授業アンケートとBonus DVDの視聴など)なので、今日の目的は「受信英語」という名前の授業としてこれまでやってきたことの総括と、最後の学習アドバイスを行うこと。しかし「受信」というからにはリスニングも含まれるし、せっかく映画を使った授業なので、20分ほど映画の終盤部分を日本語字幕で視聴することにした。日本語字幕はあってもなるべく英語に耳を傾けるように…してくれたかなあ?
  • そして熟慮の末に通年30回分の「受信英語」の最後に選んだ学習タスクは「こなれた日本語訳を横に置きながら、単語を1語ずつ意味を取っていくという、いわば究極の直読直解。配布したプリントは教員用マニュアルの内容と、教科書本文を左右に並べて見開きでも参照できるようにしたもので、単語を1語ずつたどっていく作業は割り箸2膳を写真のように並べ、少しずつずらしながら書画カメラで提示していった。そして1語ずつ思いついたことを順に喋っていくという進め方。最初の段落はお手本としてやり、次の段落は学生が先にやってから後で説明、そして後半は学生が先にやってから重要な構文やわかりにくい部分だけを説明するという方法でやった。学生が個人またはペアでやっている間には教室内を巡回して質問を受け付けた。また、英文の中で意味が分からないものは左側の日本語訳の中から対応するところを探すということにして、単語そのものの意味ではなく文や談話の中での意味を「宝探し」することを意識させたつもり。
  • また、後半については英文をかなりゆっくり目に読み上げ、その速度で1語ずつのイメージが浮かんでくるか、ということも練習させてみた。リスニングの訓練にも繋げて欲しい。
  • 「英語を大学生にふさわしい方法で読む」という科目の設定目標を達成すべく4月の最初からいろいろ「変な練習」を多数取り入れてきた授業だったわけだが、それぞれの学生が今後の英語学習の中で役立ててくれたら嬉しい。また、今後、英文を日本語訳と突き合わせながら1語ずつの直読直解で読み進め、そしてその中で気づいた英語表現などを少しずつ別のところに書きためていくなど、勉強するという方法も是非取り入れて欲しい…そんなことを最後の遺言にして授業終了。
 
 
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第15回 1月16日
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  • 最終回。授業開始時間から10分間は予告通り「公式カンペ」の作成。これは試験範囲の教科書の本文だけをまとめた資料で、A3片面印刷にしている。この両面に10分間で任意の資料を参照しながら自由に書き込みしてもよいというルール。そして試験中はこの用紙だけを参照できる。中間テストでも実施済み。
  • 10分後から試験開始で30分間。(試験問題は非公開としますが、単語問題、別紙資料から日本語に相当するものを抜き出す問題、資料を参照しながら別の単語などを足して作る英借文(英作文)、口語表現などを和訳する問題などを出しました。)
  • 授業後に大学指定の授業アンケートを実施し、適当に見計らった時間の後で集計画面を中間モニタで提示してコメントなど。
  • 質問コーナー。1限は1枚だけ、2限は10枚程度。手元にまだ「ボーナスポイントつき質問カード」がある人はそのまま名前を書いて提出、あるいは「ご褒美シール」がある人は出席票を配布し、そこに貼り付けて提出することでポイント加算ということにした。また、今日の質問カードは受け付けなかった。
  • この授業はほぼ全員が1年次の学生なので、来年度に取ることができる2年次英語科目について説明。
  • 授業で利用した映画『ナイト・ミュージアム』の特典DVDから3種類(2限は質問カードが多かったので2種類)の特典映像を見て終了。 

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