Phrase Reading Worksheetを利用した英語授業の設計 神谷健一(大阪工業大学)

[Phrase Reading Worksheetを利用した英語授業の設計]

[神谷健一・大阪工業大学]


[概要]

この取り組みではパブリックドメインの英文素材をPhrase Reading Worksheet形式に加工して大量に蓄積し、誰もが自由に使える教材アーカイブを構築していくことを目指します。2013年度の授業内容との連動はありませんが、授業で配布するプリントと同一のレイアウトの英文素材だけを差し替えたものを毎回の授業のペースと連動する形で作成していき、英文読解(特に直読直解)から英語の発信につなげて行く一連の流れをコースポートフォリオ上で再現することをねらいとします。

[付記]

以下の内容は2013年3月29日に作成した内容のコピーです。本来予定していた内容から変更し、このスナップショットでは2013年度の授業実践についてまとめることにしました。左側のボタンからたどれる(1)〜(9)のページは2014年3月17日に作成しました。


対象となる実践について

この実践事例の対象は大学1年次で学部生全員が必修に近い形で受講する読解中心の英語授業を想定としていますが、大学2年次以上〜生涯学習での利用も可能であると考えます。逆に高校生以下には向いていないかもしれません。これは大学生以上の知的水準に合わせるという意図があり、また高校までで英語学習の土台となる英文法や一定量の語彙に関する知識があるということを前提としたいからです。

英文法の説明においては、英文のフレーズ単位での直読直解を目指すという目的のため、高校までで学ぶ英文法とは異なる発想を取り入れます。そのためにも一旦は高校までの英文法の知識を身につけていることが必要であると考えます。ただし英語力に自信がないという学習者も対象とします。これは単に「それまでの英語学習に興味が持てなかった」ということだけを意味するのかもしれませんので。

プロジェクトの動機

私は高校英語教員として4年間、また大学英語教員として9年間の経験を重ねて来ましたが、多くの大学生が英文読解を行う時、どうしても日本語の語順に則った「後戻り読み」で読んでしまう習慣を何とかしたいと思ってきました。高校教員1年目に見かけた英語授業実践に関する書籍でPhrase Reading Worksheetという教材を知り、自分なりにいろいろアレンジし、また、これを効率よく作成できるツールを自作し、何度も改良を行い、それと同時にこれを活用した授業実践経験を獲得して行く中で、この学習方法は、英文の直読直解に向けての足場作りとして活用できるという思いが強まりました。また、多くの受講生がいる教室内で特に発生しがちな学力格差・学習意欲格差にも柔軟に対応でき、学習者個々人が自身の「次の目標」を見つけるためにも有益だと感じるようになりました。

プロジェクトの目標

このプロジェクトではプリント教材という紙媒体を用いて、個別学習にも対応できる英語教育プログラムの一つの方法を提案することを目標としていますが、1年間のコースポートフォリオにまとめて終わりではなく、オープンエデュケーションの一環として、多量の教材アーカイブを今後数年間にわたって開発・蓄積していきたいと考えています。また、授業実践事例の蓄積のみにとどまらず、インストラクショナル・デザインなどの知見も援用しながら、独学支援型教材の観点から教育工学分野での研究として拡張していきたいと考えています。さらに壮大な目標としては、教材アーカイブが完成した暁には、学習者のレベルに応じた最適な教材選定システムの開発などにも取り組んでみたいです。

方法について

この実践事例は過去の事例において学習上の効果があるとの手応えを感じた実践方法と同様の方法について、内省を含めた詳細な記述を行い、同時に学習者の反応を定期的に収集しながら汎用的に利用できる可能性のある知見および授業手順について記録し蓄積していく計画です。

対象とする授業は大阪工業大学知的財産学部で1年次の学生の受講を想定している「受信英語I」(前期・週1回90分・15回)と「受信英語II」(後期・週1回90分・15回)ですが、当該授業は別の教員と同一教材・同一シラバスを利用する授業であり、また、映画を使った教材でもあるため、なかなか汎用的な授業設計として記録することができません。そこで、授業で利用する教材とは別に、パブリックドメインの英文記事が入手できるVOA Special Englishの素材を利用し、20課分程度のワークシートを開発します。そしてそれぞれの教材デザインについて、受講生の意見を収集していきます。

2010年度にPhrase Reading Worksheetを用いた授業事例では、以下のような年間授業設計で行いました。これは神谷(2011)で報告した内容を部分的に修正したものです。

  1. 英語+日本語のプリント(以下2列プリントと呼称)を配付し、目を通すことを予習として指示。
  2. 教員用マニュアル(以下TMと呼称)の日本語訳と2列プリントを配付し、こなれた日本語訳と英語の語順の違いに気づかせる。
  3. TMの日本語訳と部分的に消去した2列プリントを配付し、徐々に予習で埋める範囲を増やしていく。この段階から授業時に完成版の2列プリントを配付し予習チェック等を行っていく。
  4. TMの日本語訳と英語1列のプリントを配付し、全ての箇所を埋めさせる。
  5. TMの日本語訳を配付せず、英語1列のプリントの全ての箇所を埋めさせる。
  6. 日本語1列のプリントを配付して教科書の英文を右側に書き写させる。
  7. 左側に日本語、右側に英語の部分消去型を作成し、予習範囲を少しずつ減らしていく。
  8. プリントのフレーズや教科書本文を利用した英借文にチャレンジ。 

当時はコースポートフォリオに関する知識もなく、自らの経験に基づいて設計した授業を、特に記録することもなく終えましたが、今となってはもったいないことをしたと考えています。このような流れに基づいて2013年度も授業を実施しながら、それぞれのプリント形式について、受講学生から毎回の授業で用いる出席カードで自由回答によるアンケートを実施していきたいです。


協力者・ピアレビューについて

Phrase Reading Worksheetは自作のオーサリングツールを利用して作成することができ、この作成ツールも多くの英語教員の方々に関心を持って使っていただいているようです。教員によってこのワークシートの使い方は様々ですが、私のこの実践事例についても定期的に紹介しながら、教材デザインのあり方や授業実践手法についても多くの方々からヒントをいただきたいと考えています。

プロジェクトに対するピアレビューは同一授業を担当する同僚に依頼する予定です。

資料・文献

Phrase Reading Worksheetに関して、コンパクトにまとまっているのは次の記事です。もともと出版用原稿として執筆したものですが、出版計画自体が頓挫してしまいました。現在は私のブログで公開しているものです。

https://dl.dropbox.com/u/14905265/フレーズ・リーディング・ワークシート_データベース・ソフトウェアによる効率的なプリント教材作成(神谷).pdf

 

他にも、さまざまな取り組みの記述を試みたものに、以下のようなものがあります。

神谷健一(2007) 英語Ia/b(英文の直読直解を目指すフレーズ・リーディングを中心に),大学英語教育学会授業学研究委員会(編著)『高等教育における英語授業の研究 授業実践事例を中心に』, pp.64-65, 松柏社

神谷健一(2010a) データベース・ソフトウェアを利用した直読直解のためのプリント教材とその実践事例, 全国英語教育学会発表予稿集, pp.596-597

神谷健一(2010b) データベースソフトウェアを利用した外国語教育のための教材作成支援と教材データの多目的利用, 教育システム情報学会研究報告, vol.25, No.4, pp.17-24

神谷健一(2011) Phrase Reading Worksheetと種々の副教材を使った授業設計 -教室内学力格差への対応を目指して, 日本リメディアル教育学会 第7回全国大会 発表予稿集, pp.167-168

神谷健一, 田中省作, 北尾謙治(2009) 言語処理技術と教材作成の連携 -データベース・ソフトウェアを用いた英語学習教材の自動作成, vol.16, No.2, pp.45-58, 言語処理学会

 

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