多角的アプローチによるFD活動:全学・学科・個人による実践例

木村貴彦・治部哲也・安藤友規子・江端一揮・宇惠弘

関西福祉科学大学・教育開発支援センター

 

概要:教育力向上と授業改善を恒常的に取り組んでいくためにはより積極的なFD活動を推進していく仕掛けが必要である.そこで,関西福祉科学大学教育開発支援センターではFD委員会を中心として主に3つの異なるアプローチからFD活動を実施してきた.具体的には①全学の取り組み,②学科主体の取り組み,③教員個人の取り組みである.これらの異なるアプローチを併用した本学独自のFD活動の展開について報告する.

キーワード: 多角的FD 授業アンケート ICT 授業評価 自己点検

関西福祉科学大学

取り組みの背景

FD活動の推進には各教員が能動的に取り組みを実施するための仕掛けが必要となるが,講演など全学で一度に取り組む方法だけでは各教員の関わりの程度も低く,効果的に活動を進めていくことは難しい.そこで,本学では,全学・学科・個人の3つの側面からFD活動を組織的に実施していくことで授業改善や教育力の向上に取り組む機会を促進することとした.

取り組みの位置づけ

①組織

関西福祉科学大学は2014年現在,3学部5学科で編成されている.学生総数は約2100名(2013年5月現在)の規模である.

社会福祉学部:社会福祉学科(29名) 臨床心理学科(15名)

健康福祉学部:健康科学科(15名) 福祉栄養学科(16名)

保健医療学部:リハビリテーション学科【作業療法学専攻(16名)・理学療法学専攻(16名)】

 ※括弧内は教員数

②FD活動実施の体制

教育開発支援センター担当教員から教育開発支援センター長1名,副センター長若干名が学長より選任される.副センター長のうち1名がFD担当となり,FD委員会委員長,教育開発支援センター担当教員のうち2名が副委員長となり活動の中心となる.

各学科からの教育開発支援センター担当教員はFD委員として学科で独自に取り組む活動の中心的役割を担う.

取り組みの内容・方法

 

 関西福祉科学大学では異なる3つのアプローチを併用したFD活動を実施している.

 ①全学的なアプローチ:教育開発支援センターが主体となり,全学を対象として実施する


 ②学科で独自に設定されるアプローチ:学科教員と学科FD委員が中心となり,学科教員を対象として実施する

 ③教員個人によるアプローチ:教育開発支援センターによって提供される内容に基づき,教員個人が実施する

取り組みの画像・映像

学生・教員に対するインパクト

①全学的取り組みによるもの

FD研修会のうち,ICTによるe-learningシステム(朝日ネット マナバコース)の導入を促進した結果,授業内における出席確認,小テストや予習復習など確認課題,レポート提出などに利用する教員が増加している.平成26年度よりポートフォリオの機能が追加されており,学生の学修履歴の蓄積にも役立てていく予定である.

学生にとってはe-learningシステムによる予習復習の機会が増え,学習時間の増加が期待できる


②学科独自の取り組みによるもの

各学科のFD委員を中心として学科それぞれの特性や問題を踏まえたFD活動を年度ごとに策定して実施できるようになった.全学的なFD活動だけでは表面的な関わりとなりがちであるのに対して,学科における教育にとって直接的問題を扱うことが可能となり,下に示すとおり多様な取り組みがみられるようになった.

また,各学科における取り組みを報告することによって,学科間の情報交換など相互作用的な効果も期待されるとともに,大学全体としての情報共有にも効果的である.

 ★社会福祉学科 自己点検に対する意識向上の取り組み,学科内研修会の実施

 ★臨床心理学科 授業方法の工夫・改善をテーマとした学科教員の相互研修

 ★健康科学科 卒業研究に至るロードマップ策定と資格取得に関連する科目内容の見直し

 ★福祉栄養学科 学科の教育体制充実と教育力の向上を目的とした学生アンケートの実施と教員研修会

 ★リハビリテーション学科 作業療法学専攻 科目担当以外の関連する領域の授業・演習への参加と協力・教員相互によるシラバスの確認

 ★リハビリテーション学科 理学療法学専攻 専門基礎分野,専門分野の科目の名称,開講時期,授業時間数,選択必修の別,講義内容の検討

本学の学生の多くは資格取得を目指していることから,上記の各学科独自の取り組みによって段階的で効率的な学修を学生が進めていくための環境整備 に貢献している.

 

③教員各自の取り組みによるもの

教育開発支援センターでは春・秋の学期のいずれかで学生による授業評価を実施しており,その結果に基づいて,各教員は担当のうち1科目を選択して自己点検表に基づいた授業の自己評価を実施している.これらの提出率はこの近年では下の図のとおり過半数以上であり,FD活動への意識と教育力向上の必要性が定着した結果と考えられる.

※単位(%) 2014年3月19日現在のデータであり,未提出分は現在も回収中

また,それぞれの教員が授業内容の改善に取り組んでいくための意識向上の一助となるものとして,昨年度より学生の授業評価に基づく教育活動顕彰制度が創設された.

取り組みからの示唆と課題

①取り組みから得られた示唆

異なるアプローチを併用して実施することで,組織的なFD活動の実施を実現できた点は大きな成果となった.その際,取り組みの全体を把握するための組織的運営(本学の場合,教育開発支援センターとFD委員会)が必須となり,それぞれのアプローチを連携させていく試みを行っていく必要がある.


②取り組みに関する課題

・各学科,各教員の取り組みの程度に差が見られる状況もあることから,より積極的な取り組みを促進するための環境整備が必要となる.

・ICTによるe-learningシステムの効果など継続的に評価を行う必要がある.

・教員主体の取り組みを実施するための枠組みを整備してきたが,今後は学生の視点を取り込み学生と教員が一緒によりよい授業を形成していくためのFD活動の方向性を検討していく必要がある.

取り組みの視点

以下の2点についてコメントやご助言を賜ることができれば幸いです.

1. 並行して進めるFD活動をどのように結合させて相乗的な効果を見いだしていくのかについて

2. 取り組みの結果をどのように可視化していくことが次のFD活動につながるのかについて


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