大阪電気通信大学におけるFD活動の取り組み

溝口文子、川口雅之 大阪電気通信大学・教育開発推進センター

概要:大阪電気通信大学におけるFD活動の取り組みについて紹介します。本学では、特色ある教育の取り組みを機関として積極的に支援することで学生への働きかけを高めることを狙いに教育活動への学内競争資金制度を設けています。その制度の紹介と具体的なテーマ及びその内容を紹介します。また、その予算以外でも特色ある活動事例を紹介します。

キーワード:新しい教育の試み、OECUモデルの構築

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教育開発推進センター

取り組みの背景・位置づけ

 2013年度より(申請は2012年秋)本学における教育の活性化、学生への働きかけを高めるために設けられた教育活動に対する学内競争的資金で、特色ある教育の新しい試みに対する支援費目です。従来の教育と異なる新しい試みであり、本学独自の教育方法(OECUモデル)の構築をめざすのが前提です授業での演習や実験といった活動には別途予算がもうけられており、其れとは別の試みに対し申請を認めるものです

取り組みの内容・方法

7月に募集をかけ、9月末に締め切り。
●教育開発推進センター運営委員会により全学部対象に推薦された学内の教員が審査員となり、審査を行う。審査による順位付けを運営委員会にて協議し、上位数件を次年度予算申請。
●審査のポイントは、教育内容の特色及び従来と異なる点(既存施設等で申請の教育が実施できない理由も記入要)
●予算上限100万+TAX
●採択されたテーマについては、次年度の学内FDSD研修会で報告が義務付けられている

●実績

 2013年度 申請10件、採択5件(予算総額約300万)

 2014年度 申請4件、採択4件(予算総額約300万)

取り組みの示唆

学生・教職員へのインパクトは、具体的な事例より紹介します。
本制度の成果と課題は以下の通りです。


「特色ある教育の新しい試み」「本学独自の教育方法(OECUモデル)の構築」をうたっていて、この制度で一学科から始めた取り組みがいくつかの学科に波及している(下記「キャリアノートを用いた---」、「基礎ゼミナールとコラボカフェの連携---」など)例が出始めている。一方、その評価・検証の仕組みに課題が残っており、本学にとってのOECUモデル足りうる見極めが十分とは言えない。


同様に、新しい試みではあるが、単年度で成果が必ずしも出るとは限らず、継続的な視点からの制度の在り方も必要と思われる。

事例1

テーマ:「キャリアノートを用いた初年次キャリア教育」 

           工学部 電気電子工学科、伊与田功 

       人間科学研究センター 佐野正彦

取り組み・狙い

○教育の目的とねらい 

自分自身に自信が持てず、自分自身についての認識や将来の展望を持たないまま入学してくる新入生に、長期間にわたって自分のことを特製のノートに記述させ、その行動を通して自分について考え、自分の価値を見つけさせて、早い段階で将来の展望を描かせ、そこから逆に勉学の必要性を気づかせて、キャリア形成のために意義のある大学生活を送ることができるようにする。 


○申請の教育内容の特色
 

これまで初年次は専門を学ぶための基礎教育は行ってきたが、今回は、キャリア形成のための新規の取り組みであり、以下の特長がある。

・学生自らが思考し、足で調査し、報告し、話し合う「学生が行動する」ことを中心とした授業形態
・自分自身の分析を系統的にできるキャリアノートによる自主的学び

・本学出身の比較的若い技術者に講師を依頼する具体的なキャリアモデルの提示

○学生が享受できる教育上の効果と効用

本学には、本学を志望して入学して来るというよりも、種々の条件から選択せざるを得なかったという理由で入学してくる学生が多数存在。また、自分に自信を持てず積極的な行動が取れない学生も多い。このような学生に、学生自らが思考し、足で調査し、報告し、話し合い、自分を分析する機会を与え、自分の価値を知って、肯定的な生き方ができるようになる。また、主体的な活動を経験することで自主的に行動する自信がつく。

また、活動の中で、本学の各部門の調査を学生自らにさせることにより、彼らの大学生活において大学の機能を有効に活用させることができる。それと同時に、本学の良いところを知ることで、愛校心を醸成させることができる。


 取組からの示唆
 

○成果 

◎目に見えて明らかな点
  
    1.書く力の向上
      2.コラボカフェの利用促進

◎レポートから
     1.
友達ができた
     
2.
他の受講生から刺激を受けた。
     
3.
大学生活における計画を立てることができた。
     
4.
ラーニングコモンズで効率的に勉強している。
     
5.
TOEICを受験した。 他

○課題

テキスト・授業展開について(改善すべき点)

・専門科目の重要性に関する講義の追加
・グループディスカッション促進の工夫(初回に「無人島問題」を扱う等)
・メモの取り方や発表の仕方等、思考方法の適宜指導

② 配点について(改善すべき点)

 ・コミュニケーションカードのみの出席点とせず、受賞開始後15分の段階での携帯出席の点を追加。

③ 今後検討されるべき点

 ・教養科目の重要性に関する講義の追加
 ・全体の「キャリア科目」との整合性

●教育推進費によるその他のテーマ
アセット・マネジメント学科 寺田 貢
河上芳明
松尾邦子

学生の就職活動に向けたキャリア教育(社会・対人関係力および自己制御力)開発のためのプログラム

・報告書
機械工学科 宇田 豊 CAD利用技術者(1級、2級)資格取得支援のための教育
環境科学科 西岡 昇
川口雅之
中田亮生
基礎ゼミナールとコラボカフェの連携による低学力学生の基礎学力向上と資格取得支援

デジタルゲーム学科

人間科学研究センター

横山  宏
森石峰一
佐野正彦
教職支援室(A401)を活用した教職生ピア・ラーニング活性化への取り組み
英語教育センター 竹山友子
柏原郁子(主任)
英語読解力アップを目指したリーデイングシャワーの全学的実践
情報工学科
アセット・マネジメント学科

辻谷 将明
寺田 貢

「ビッグデータ」サイエンティスト育成のための文理融合型教育
環境科学科 西岡 昇
川口雅之
中田亮生
上級生が指導する就職対策のSPl対策講座と教員による資格取得支援
英語教育センター カルモナ・ダニエル
柏原郁子(主任)
「グローバル人材育成のための英語教育プログラム」の試み
●教育推進費外の取り組み事例
電気電子工学科 橘 邦英(学長)

○ITテーブルを活用した教育法の開発

iMindMap 簡易マニュ
英語教育センター 竹山 友子

○ICT を活用した自学自習型教育による英語教育

事例2

テーマ:基礎ゼミナールとコラボカフェの連携による低学力学生の基礎学力向上と資格取得支援」

             工学部 環境科学科、西岡 昇、川口雅之、中田亮生


取り組み・狙い

環境科学科では、従来から各種資格支援授業(電験三種、公害防止管理者、エネルギー管理士、気象予報士、エコ検定、CAD利用技術者)を積極的に実施してきたが、これらは試験の難易度から学力レベルが中・上位の学生が対象でそれなりの成果を出してきた。しかし、学力レベルが下位の学生には「基礎ゼミナール」の授業により働きかけてきたが授業時間の制限もあり十分な成果が出せていない。


そこで、基礎ゼミナールの授業の一環として、数学の基礎学力の低い学生を選抜して数学の補講を行い、専門科目にある程度対応できる数学基礎学力を習得させる一つの試みを行う。これらは学力を少しでも向上させ、留年、離学または卒業時に進路未決定となるケースを可能な限り減らすことを目的とする。

○授業の方法

担当者)専任教員、非常勤教員、TASA(学部4年生、院生)のうち4名が、4グループ(1人1グループ10名)を担当。

テキスト)数学検定4級の問題集(学研・受かる!数学検定)を使用

 

授業の方式)問題を解かせ、終わったら解答を配布して答え合わせをする。間違った問題の計算過程をノートでチェックして、どこが間違っているのかを指摘。全体で同じ範囲を教授するのではなく、各学生の進行状況に合わせて進める個別対応。

取組からの示唆

1)選抜者の期間平均出席率は38%、選抜者のうち第1回目の出席者に限定すれば53%であった。

2)基礎ゼミナールの成績(アチーブメントテスト)に繋がるために、ある程度の出席があったが、出席のアドバンテージと欠席のペナルティーを特に設けなかったためか、欠席者が日を追うごとに増加した。

3)アチーブメントテストの結果では、レポートを含む出席者(3回以上)の試験の点数が、欠席者の点数よりも10ポイント程度アップした。


4)数学をまとめて1つの科目として学習させる方法のほかに、専門の授業科目の中で数学の一部を(再度)勉強させ、そのつながりを明確にしながら、必要性を実感させて学習させるのもひとつの方法と考える。

 

5)機関としての取り組み(工学部・情報通信工学部)のリメディアル数学講座のモデルケースとなり、2014年度春実施には、この方式をこころみることとなった。

事例3

※教育推進費外での取り組み

テーマ「ICT活用による臨床医工学分野の学修到達度の測定」

            医療福祉工学部 医療福祉工学科、新川拓也、橘 克典

取り組み・狙い

医療福祉工学科入学時より卒業時(国家試験受験)に至るまで体系的・横断的に学修到達度を測定し、学生にフィードバックすることで学生が学修状況の詳細を把握して主体的に学修することを課題とする。

A)学科の統一実力テスト:医療福祉工学科1年生~3年生までの全学生

医療福祉工学科入学時より基礎工学、基礎医学、臨床工学の各分野を体系的・横断的に学修到達度を測定して、学生にフィードバックすることで学生が着実に得意・不得意分野を把握して主体的に学修すること、学生の進路決定における判断材料を提供することを課題とする。

B)臨床工学技士国家試験直前テスト:国家試験受験者

臨床工学技士国家試験は医療福祉工学科の4年間の学修内容がほぼ含まれる試験であり、国家試験のe-learning直前テストの結果により個々の学修到達度に応じた指導・アドバイスを行うことで受験者全員が合格レベルに到達させることを課題とする。


取組からの示唆

A)学科の統一実力テスト

利点:

1)2年次合同で行うことから、1年生が2年生を抜くなどのエンカレッジ要素を有する。また、自分自身の順位がすみやかに判明するため、励みにも反省にも成りうる。

2)
e-learningシステムを利用するので、あらかじめ試験勉強した時間を参照することができ、どの学生がどれほど勉強に取り組んでいるのかが明らかとなる。

3)いつでも受験勉強できることから、学生自身のライフスタイルに合わせることができる。

B)臨床工学技士国家試験直前テスト

1)e-learning直前テストの結果、受験生の中でボーダーラインの学生を絞り込むことができる。それらの学生を徹底的にマークして指導と学修状況を確認することができた。

2)2014327日に臨床工学技士国家試験の合格発表があり、医療福祉工学科は開設以来10年連続で全国平均の合格率を上回った。

課題や反省点:

1)e-learningコンテンツの誤植、正答番号の記入ミスを低減する。多くは入力時のご入力であり、年度初めに校正作業を行うことで解決できると考えられる。

2)間違った場合、自分で調べるように解説を提示していない。しかし、受験した学生のアンケートには解説をつけることが要望としてある。学科として学生には要点をまとめたノートをつくるように指導しており、解説まで提示することで「ノートづくり」がおろそかになるとの指摘があり、今後の検討課題

OECUICT活用による臨床医工学分野の学修到達度の測定-補足資料事例3

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