教育改善を目指す全学的なFD活動

-カリキュラムと科目内容の整合性および科目間の接続性の検討-

松田光信 溝部潤子 黒野利佐子 西出順子 酒井健雄 柳田潤一郎 白銀千枝

神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部 FD委員会

 

概要:大学が完成年度を迎えたことを機に、今一度「カリキュラムと科目内容の整合性および科目間の接続性」に目を向け、学科別および全学的に教育改善を目指す取り組みを行った。ここでは、その概要と全学的な取り組み(全学研修会)による教員へのインパクトを報告する。

キーワード:全学FD活動、学科別FD活動、科目内容の整合性、科目間の接続性、教育改善

神戸常盤大学web


取り組みの背景

 本学は、40年間続いた短期大学を改組し、2008年に大学の新設および短期大学部への新学科設置により、1学部2学科(医療検査学科、看護学科)の大学と3学科(口腔保健学科、幼児教育学科、看護学科通信教育課程)の短期大学部として新たなスタートを切った。また、本年4月には、幼児教育学科を教育学部こども教育学科へと改組し、2学部3学科構成の大学と2学科構成の短期大学部となった。

 大学組織が急激に変化する中で、各学科の教育理念を達成するには、カリキュラムの特徴を理解して科目内容を構成したり、科目間の接続性を考慮することの重要性を教員ひとり一人が認識しておく必要がある。本学では、このように身近に存在する小さな課題に目を向け、教育の質の向上を目指す取り組みを開始した。

取り組みの位置づけと経緯

 本学のFD活動は、平成19年度に全学委員会としてFD委員会が設置され、初代FD委員長(学長)によって組織的に取り組むFD活動の基盤が形成された。その主な活動は、「学生による授業評価の実施」「公開授業の実施」「FD研修会の企画・運営」「学外研修会への参加」である。平成23年度のFD委員会では、「FDマップ(国立教育政策所)」を参考にして、本学におけるこれまでのFD活動を振り返り、ミクロレベル(教授法)に該当する活動に力点を置いてきたことを確認した。しかし、教授法は専門分野あるいは科目の特性によって大きく異なることから、方法論について重点的に検討し続るのではなく、カリキュラムとの関連において多角的に検討する必要があると考えた。そこで、FD委員会では、「カリキュラムと科目内容の整合性検討および科目間の接続性の検討」を年間目標とし、教育改善に向けて組織的な取り組みを行った。

取り組みの内容・方法

  FD委員会の年間目標を達成するには、組織的に取り組む全学的なFD活動と学科別に取り組むFD活動の両方を推進する必要があると考え、次に挙げた3つの研修会を企画した。

 

1.全学講演会「教育改善の一環としてのカリキュラム検討」20117

 

 全学的な研修会を通して、教員がカリキュラムに関する共通認識をもつ必要があると考えた。そこで、年間目標に沿うテーマで講演会を企画し、教育学を専門とするFD委員会のメンバーによる講演会を開催した。その主な内容は次の通りであった。

  • 授業科目はカリキュラムの構成要素であることから、FD活動としてカリキュラムについて考える必要がある。 ⇒⇒⇒⇒⇒⇒ カリキュラム検討の視点
  • 教員によるカリキュラム運用状況の相互チェックが必要である。教員が自己の科目をよりよくしようと思うなら、自ずと他の教員の授業やシラバスが見たくなるものである。 ⇒⇒⇒⇒⇒⇒ 公開授業活性化の視点

 

2.学科別FD活動

 

 各学科のFD委員が中心となって、所属する学科のFD活動を牽引した。FD活動の方法は、各学科の自由な発想により創意工夫するものとした。各学科が取り組んだテーマは次の通りであった。

 

 

取り組みのテーマ

医療検査

学科

臨床検査技師学校としての指定校化に向けた取り組み

看護学科

各実習内容の整合性および接続性の検討

口腔保健

学科

口腔保健学科のカリキュラム検討

幼児教育

学科

教育学部こども教育学科設置に向けたカリキュラム構築

看護学科

通信教育

課程

カリキュラムマップの作成等による科目内容の整合性および接続性の検討

 

3.全学研修会「FD活動情報交換会~各学科での取り組み~」20123

 教員を対象に、各学科が取り組んだFD活動を紹介し合い、意見交換を行う機会を提供するために全学研修会を開催した。これは、学科単位でどのようなFD活動ができるのか、どのようなFD活動をする必要があるのか等について考えるきっかけを与え、今後のFD活動の示唆を得ることをねらいとした。


取り組みの全体像

 




教員へのインパクト

 本報告は、今年の3月に開催した全学研修会「FD活動情報交換会~各学科での取り組み~」に限定して行う。





取り組みからの示唆・課題

  1. 本取り組みは、概念レベルでの検討に傾きがちであった。そこで、今後は具体的に科目を例示して、各学科のAPCPDPと各科目内容の整合性について、具体的に科目(講義、演習、実習)を例示しながら検討する必要がある。
  2. 全学的なFD情報交換会の事後アンケートに見る否定的な意見からは、FD活動の趣旨が参加者に十分伝えきれなかったという反省が残る。よって、今後はFD活動の趣旨を伝える手段を検討する必要がある。また、グループディスカッション等による参加型研修会の検討を行う必要がある。
  3. 本取り組みは、教員に対して教育改善を考えるきっかけを与えたにすぎない。したがって、今後はこのような取り組みを継続し発展させるにはどのようにすればよいかを検討する必要がある。

取り組みの視点

  1. 本学のFD活動は、大学と短期大学部の合同組織による取り組みであることと、国家資格を必要とする専門職を育成する教員集団によるものであることが特徴であろうと思われる。
  2. 平成23年度FD委員会では、FDマップを参考に前年度までのFD活動を振り返り年間目標を設定したことで、FD活動を具体的に展開することができたと考えている。そのことが全学的なFD活動としての体裁を取りながら、各学科の状況に合わせたFD活動の実施につながったと評価している。

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