ICTを活用した教育・学習支援アクションプランの策定

星野 聡孝  大阪府立大学高等教育開発センター

 

概要:本学でも教育・学習の支援のため、ICTを活用した種々のシステムが運用されてきた。しかし、個々のシステムについての課題だけでなく、これらシステム全体としての在り方や有効活用の方法などを検討し開発・運用していく体制が、学内では未整備であった。そこでまず、ICTの教育・学習への活用を検討すべく学内に委員会を結成し、アクションプランという形にまとめることになった。ここでは、アクションプラン(最終案)の概要と、その中でも特に、授業アンケートに代わるものとなるポートフォリオシステムについて報告する。

キーワード:ICT 授業アンケート 学習ポートフォリオ 教育ポートフォリオ

大阪府立大学高等教育開発センター

取り組みの背景

本学でも教育の質の向上を目指して、教育の現場で、あるいは教育改善を進める上で、ICT(Information and Comunication Technology)の活用を進めてきた。しかしそこには、以下のような課題が生じていた。

・ICTの活用を進めるための体制が未整備

従来、システムの導入・管理は学術情報センターが進めてきた。一方、教育・学習の支援・改善に必要な機能については、高等教育開発センターでも検討されてきたが、これまで両者が緊密に連携する体制ができていなかった。

・個々のシステムの活用が不十分

上記の点と深く関連するが、システムの活用が必ずしも十分とは言えず、費用対効果の面でも改善の余地があった。

同時に、学内の情報システムがリプレースの時期を迎え、教育・学習を支援するためのシステムの今後を検討していく必要性が生じていた。

取り組みの位置づけと経緯

学長からの委嘱という形で、学術情報センター・高等教育開発センターのメンバーを中心に「アクションプラン検討委員会」を作り、2010年7月よりアクションプランの策定を開始。その後、以下の小委員会で、個別課題への対応を検討。

  • 講義支援システム等仕様策定小委員会
  • ポートフォリオ仕様検討小委員会
  • 新規モデル事業検討小委員会

また、随時、学内の委員会(「情報システム委員会」「教育改革専門委員会」等)に報告し、2011年3月末、最終案を取りまとめ。全学での意見聴取の後、2011月6月、「アクションプラン」を学長に提出予定。

本取り組みに関連する内容は、2011年度から始まる中期計画の中でも「教育の質の向上への取り組み」「学生支援に関する目標」として記載される予定。

「アクションプラン」(最終案)概要

個々のシステムを導入するという視点ではなく、教育改善手法とそれを実現するサービスの提供という視点へ

学生・教員の更なる自己改善を支援することで、本学の全体的な教育力を向上

 

[1] 組織としての教育・学習支援

(a) 授業支援

  • オープンソースの授業支援システム(moodle)、および出席管理システム(名工大開発)へ移行
  • 本学ニーズへの独自対応のため、学内主導の継続的開発体制構築
  • 今後、本学独自の教育改善機能等の追加を検討

(b) ポートフォリオ

  • 従来の授業アンケートにかわり、学生による学習の目標設定と自己評価を中心に据えたポートフォリオの導入
  • 学生の学習自己評価を基にした、教員の授業改善、大学としての教育改善をサポート

 

[2] 個人に対する教育・学習支援(モデル事業)

  • 授業支援システムやポートフォリオシステムをいつでもどこでも使えるように
  • 各種システムへアクセスするためのハードウェア、学習支援のためのソフトウェアの基盤技術調査と共同研究・共同開発
  • 将来的には、新しい教育・学習スタイルが...


ポートフォリオ

以下では、高等教育開発センターが中心になって進めているポートフォリオシステムについて述べる。

(1) 導入の背景と必要性

従来、教育改善のための基礎データを得るため、授業アンケートが行われ、活用されてきた。しかし、その活用には、いくつかの課題が生じている。

  • 学生による授業評価の側面が強く、学生自身の学習改善には直接結びつかない(学生自身への直接メリットがほとんどない)
  • データの蓄積および経年変化の可視化がシステムとしてサポートされていないため、教育改善の効果を容易に分析・把握できない

そこで、従来の授業アンケートにかわり、学生による学習の目標設定と自己評価を中心に据えたポートフォリオを導入(「ティーチングの評価」から「ラーニングの自己評価」へ)。

(2) 導入の目的と期待される効果

(学生)自律的学習習慣の確立と、学習の継続的な自己改善を促進

  • 自己の目標の明確化
  • 経年変化を含め、自己の学習(改善)状況把握の容易化
  • 自己分析(振り返り)を基に、 PDCA的な自己改善

(教員)日々行っている教育改善の更なる促進

  • 経年変化を含め、教育効果把握の容易化
  • 自己分析(振り返り)を基に、PDCA的な自己改善
  • 自らの教育エビデンスとして、活用可能

全学、学域、学類および課程の組織的教育改善を促進

  • 経年変化を含め、客観的指標による現状の把握
  • カリキュラムや学習環境等の改善のための基礎資料として活用



取り組みからの示唆

部局や組織を跨いで連携していくことの重要性が再認識された。その一方、単に連携するだけでは不十分であり、このようなプランを立案・実行していくためには、常に全体を見渡して方向性を指し示しうる少数のコア人材が必要であることが強く実感された。

今後は、アクションプランを実行に移していく上での学内の実施体制を確立していく必要がある。また、全学でICTを教育・学習の場で有効に活用してもらえるよう、本学にとって本当に必要とされる機能を更に検討すること、使う上での敷居を低くすること、有効活用事例を一つでも多く集め紹介していくことなどが必要である。

取り組みの視点

教育・学習の改善にICTを全学的に活用していく上での注意点やアドバイスなど頂ければ幸いです。

資料・文献

・南学、中西良文 (2010) 「授業の評価から学びの評価へ −授業評価項目の改訂の過程−」第16回大学教育研究フォーラム発表論文集 p. 48-49

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