!This page is unpublished


学生アンケートを利用した授業改善の取り組み

八木 成和

四天王寺大学 教育学部 教育学科・FD専門部会委員

 

概要:本学では、平成18年度以降学生アンケートを利用した授業改善に取り組んできました。各教員半期に1回1科目実施し、授業改善に向けた学生アンケートの開発に取り組んできました。平成22年度は前期に初年次教育として実施している「大学基礎演習」での学生アンケートを実施し、後期はチェックリストを用いて3期に分けた学生アンケートを実施しました。本報告では、学生アンケートの結果を中心に報告します。

 

キーワード:学生アンケート、チェックリスト、リフレクションペーパー

四天王寺大学・四天王寺短期大学部


これまでの学生アンケートの実施経過 

 その後、平成20(2008)年度には、FD委員会において議論を重ね、アンケート項目を大幅に変更した。そして、その集計結果をもとにリフレクション・ペーパーの提出を求めた。平成21(2009)年度には平成20(2008)年度と同一の項目により実施した結果についてリフレクション・ペーパーの提出を求めた。

本学では、平成18(2006)年度から全教員を対象に半期1科目を対象に授業の後半に年1回学生アンケートを実施してきた。学生アンケートの結果は項目ごとに回答者の分布および平均値と全体の平均値を記した結果を各教員に返却し、教員個々に授業の改善に自主的に使用することを求めてきた。本学ではこれまでに2年ごとに学生アンケートの項目や実施方法を見直してきた。平成18(2006)年度と平成19(2007)年度には同一の項目でアンケートを実施し、その変化を検討した。

  以上のような経過のもとで学生アンケートを実施してきたが、課題として以下のようなことが挙げられた。

  

(1)授業概要(シラバス)に関する項目において平均値が他の項目に比べて低く、学生の意識が低いこと

 

(2)例えば、「授業の開始時間が守られている」などのような授業の後半に学生に回答を求めていては、授業の改善にすぐに役立ちにくい項目が見られること

 

 そこで、平成22(2010)年度は専任教員を対象に授業の2回目、7か8回目、14回目の3期に分けて学生アンケートを実施することにより、学生アンケートの結果をより授業改善にすぐに直接役立てることを目的として実施した。

 

組織的取り組みの流れ

  平成18(2006)年度より学生アンケート委員会(平成17(2005)年度設置)をFD委員会と改組し、組織的なFD活動に取り組んできた。主に、学生アンケートの実施を中心にFD活動を行ってきた。平成22(2010)年度からはFD委員会の上部組織として教育開発推進本部FD専門部会を新たに設けた。

  理事長から委嘱された委員により構成される本FD専門部会において全学的な取り組みの課題と方向性、具体的な取り組み内容について議論した後、各学科から選出されたFD委員により構成されるFD委員会に諮り、各学科が抱える具体的な課題や取り組み上の問題点等について討議を行っている。

3期に分けた学生アンケート実施方法と内容

学生アンケートは平成22年度冬学期に実施した。試行期間として専任教員のみ以下の3回のアンケートを実施し、非常勤講師は昨年度と同じ方法により実施した。 

  第一に、各専任教員が改善を目指す授業を、ゼミを除外して1科目選択し実施した。学生アンケートは、教員が授業終了までに実施し、回収することとした。

全体を以下の3期に分けて実施した。

1期:927日(月)から108日(金)の1週間(2回目の授業時)

2期:118日(月)から1122日(金)の2週間(7回目か8回目の授業時)

3期:16日(木)から118日(火)の1週間(14回目の授業時)

  

 1期と第2期で実施するアンケートは、個人差、つまり、正規分布を想定したものと考えず、チュックリストによる回答方法とした。前述のように授業を改善するために第1期と第2期の学生アンケートは、学生が学習する上で求められる行動や考え、授業の現状を確認するためのものであった。

 したがって、「ある」か「ない」かの2件法で回答を求めるものとした。つまり、第1期と第2期の学生アンケートでは「事実の確認」と「学生と教員の双方の対応策や改善策の提案」を主な目的とした。

記名式か無記名式かの実施方法については、授業を実施し、指導する中で、学生の学習意欲を高めるために必要な情報を得られるかどうかで判断するように各教員に求めた。

3期は、総括的評価として位置づけ、昨年度と同じく「そう思う」「少しそう思う」「どちらともいえない」「あまりそう思わない」「そう思わない」の5件法で回答を求めた。

 

学生アンケート項目
3回の学生アンケートで使用した項目の内容

教員に対するインパクト

 [第1期の学生アンケート結果に対する教員の対応]

  第1期のリフレクション・ペーパーからは、もう一度授業概要(シラバス)をよく読んでおくように指導したことや欠席した学生への再度の説明がなされていた。また、1回目のオリエンテーション時に授業実施に関する配布資料を作成し、学生に対して実施方法や学習内容について詳しく説明している教員も多く見られた。

 提出されたリフレクション・ペーパーの結果から多くの教員がオリエンテーション時に授業について説明し、受講する上での見通しを学生に理解させる試みをしていた。

[第2期の学生アンケート結果に対する教員の対応]

 第2期では、学生アンケートの学生の受講態度に関する項目おいて「いいえ」の回答率が高く、学生自身の自覚が見られた。第2期のリフレクション・ペーパーから、各教員が学生に対する対応を行ったことが示された。対応例としては、学生の授業態度については、積極的な学生の授業態度を引き出すために、参加型の授業形態を取り入れることや教材および作業課題を工夫するなどの対応が見られた。

授業への感想に関する項目については、話し方や板書の仕方を改善したり、ICTを活用した資料の提示方法を工夫したりするなど授業スキルの向上が見られた。中間期に学生アンケートを実施したことにより学生アンケートの結果に対応した工夫や改善がなされていた。

 

 

 

本学の学生アンケートから得られた示唆

 

 本学の学生アンケート実施を通して、授業期間内に教員が学生の意見に対してすぐに対応することの重要性が示唆された。

 

今後の課題のとして、以下の4点が挙げられた。

 

(1)授業概要(シラバス)の内容や提示方法について学生が学習を進める上で利用しやすいものであるか。また、授業概要(シラバス)の意義をどのように学生に理解させるのか。

 

(2)これまで学生アンケートの活用を中心に授業改善を行ってきたが、学生アンケート以外の授業参観や公開授業等の他の手法との関係付けをどのように行うか。

 

(3)学生アンケートの項目の内容と評定方法についてである。大学の教育理念やディプロマポリシーに関連づけて、どのような項目を作成するのか。どのような評定方法が、学生の意見を的確に反映させるのか。

 

(4)学生アンケートの対象科目を増やした場合や非常勤講師も含めて実施した場合に生じる、即時フィードバックを目指したICT活用についてどの程度費用がかかり、どのような新たな問題が生じるのか。

 

 

 

 

今後の取り組みの方向性

 これまでに本学ではFDに関して、FDに関する研修会の実施、授業改善に向けた学生アンケートの実施、初年次教育科目「大学基礎演習」の全学的導入と内容の検討、授業参観の実施、FD専門部会の設置等具体的な取り組みを行ってきました。しかしながら、これまでの取り組みに中でさまざまな課題にも直面しております。以下の4点についてご意見をいただければ幸いです。

1.3期に分けた本学の学生アンケートの実施方法について貴学の実施方法との比較からコメントを御願いしたい。

2.本学が挙げた今後の4つの課題に対するご意見を御願いしたい。

3. 非常勤講師を含めた全学的な取り組みとして、個々の教員の労力を伴うFDへの意識をどのように共有化し、具体化していくのか。貴学のこれまでの活動経験からご意見を御願いしたい。

4. さまざまなFD活動を行う中で、学士課程の質保証に向けて、一連の活動をどのように系統立て、有機的に結び付け、その成果をみとっていくのか。貴学のこれまでの活動経験からご意見を御願いしたい。

資料・文献

東北大学高等教育開発推進センター(編) 2010年 「学生による授業評価の現在」 東北大学出版会

, and others from {0} s Recieved {1} MOSTAR{2} {0} ! added this to Mo-susume.