京都精華大学共通教育センター

「日本語リテラシー」

2006年文部科学省・特色ある教育実践GP

 

 

「推敲」という問題 

──自己省察的な文章から作品化へ──

(2011年度Hクラスを事例として)

 

 

発表者: 森下 育彦 / 谷 美奈

文責: 谷 美奈

 

 

 

実践のあらまし

 

 「日本語リテラシー」人文学部初年次生を対象として課題テーマに沿った文章表現に取り組む必修科目の授業実践である。「読む・書く・考える」をシンボルフレーズとして2004年度に設立された。日本語リテラシー」はその科目名(授業タイトル)であり、2006年には文部科学省の特色GP(特色ある教育実践)に選出されている。

 

 

 京都精華大学における「日本語リテラシー」の教育実践は、全国のさまざまな大学で行われている技術面を重視した文章技術指導や論文作成のための授業とはいささか似て非なる特徴を有している。

 

 

 要点を端的に挙げれば、自己省察(内面の掘り下げ、とらえ返し)に主眼を置くこと、およびたんなる作文ではなく作品をめざす(作品化)ことである。ここでの「作品」とはレポートや小論文でも、小説などのフィクションでもなく、文章ジャンルとしての「エッセー」である。文芸学上はさまざまな定義が存在するエッセーであるが、ここで扱う場合には「自己省察的な文章」をさす。書くという記述行為が自己を深く省察することと同意義ととらえ、最終的に作品としてのエッセーへと文章を結実させる。2011年度Hクラスの実践は、これらのことを教員がかつてなく意識化して取り組んだ実例ということができる。

 

 

 学生はあくまでも自己を基点に、自らの内面にある感情や思い、記憶や経験を言語化することをめざして作文する。さらに、たんに作文するにとどまらず、粘り強い推敲のプロセスをふんで作品化をはかる。同時に読み手である他者 直接的には教員やクラスメート)に向けて自作を差し出すことによって、文章表現としてのサイクルは完結する。この過程において教員との対話やグループワークでの相互批評、自作朗読や文集発行といった作品発表が並行して行なわれる。これを1クール(3~4週間)ごとに異なる課題テーマで取り組み、前・後期それぞれに4ないし5つのクールをこなす、というのが実践のあらましである。

 

 


 

キーワード: 読む・書く・考える、 自己省察、 推敲、 文章表現=作品化、 エッセー

京都精華大学

 

取り組みの背景

 

 

学生に文章をどう粘り強く推敲させるか

 

 

 文章を推敲することは時間がかかり、面倒臭く、遠回りであるような思いを学生たちは抱く。とくに、ケータイやPCなどのデジタルツールで瞬時に文字情報を送信することが「書く」ことと同義となっている現代の若者にとっては、なおさらである。

 

 

  しかし、書く」という行為は「読む」ことと同じく、情報操作(無時間行為)ではない時間的行為であり、その時間性のなかで次第に形を成すことが「考える」という行為である。それを身体化するためには、段階的な推敲作業が必要であることを学生に実感してもらう必要がある。

 

  

取り組みの内容・方法

 

Ⅰ.文書記述の生成プロセス

 

  日本語リテラシーの授業実践プログラムにそって学生はどのような過程をたどって「表現=作品化」を行うのか、そのプロセスを構成する各過程ではとくに「推敲」という作業が鍵になるが、全体は1課題テーマ(1クール)に4つのステップ(「4S」)をふまえて進む。

 

  Step 1:題材探し(ワークシート作業)

Step 2: メモづくり  

  Step 3:下書き

     Step 4:推敲

 

 

 

Ⅱ.作品と批評

 

 

 学生は「4S」の作業ステップをふんで課題作品を仕上げ、教員へ提出する。そのあと、事後のプロセスがある。作品化したものを成績評価や作品批評の対象として扱う過程である。

 

 

  1:評価と添削 

 

2:作品発表と批評 

 

 3:班文集作成と表現物の交換 

 

 

取り組みの画像・映像

 

 

 

推敲:教員と学生との対話1 推敲:教員と学生との対話2
   
文集作成1 文集作成2
   
自作朗読発表1 自作朗読発表2

 

(↓添削例)

torikumipoint_tensaku1.jpg

 

学生・教員に対するインパクト

 

 

〈学生の学びの声〉

 

 

・ワークシートやメモ書き、下書きの前に構成を考えたということがなかったので、文章ってこういうふうに書くんだな!ということが分かった。

 

・高校時代までにやってきた小論文や感想文とは違う「エッセイ」という書き方が新鮮だった。自分が意外と文章を書くことが下手くそだと気付いた。

 

・グループワークでは自分の文章に対して素直に意見を言ってくれたと思うので、それが新鮮であり嬉しかった。また文集を実際に作っていく作業が楽しく出来た。

 

・後期になってからは文章を書くことに対する苦手意識が薄らいだこともあるけれど、周りのレベルが上がっているのが分かるような作品が多くて、それを読むのが楽しみであった。

 

・一番楽しい授業でした。自分と会話ができるし色々考えられるし、家でもやろうって思える。

 

・日本語リテラシーで目指している文書力の向上は生きてく上で必ず必要になるスキルだと思うので、この授業を受けられることはありがたい。

 

 

〈教員の学びの声〉

  

 

提出された出来栄えもさることながら、「書く」という行為のプロセスや「作品化」に取り組む姿勢、自作や他作を批評することが、彼/彼女たちの思考様式となっていった。

 

 

 

 

 

取り組みからの示唆

 

 

 学生の文章表現者としての主体形成の潜在能力を信じ、粘り強く推敲し作品化する過程のサポートに教員は徹した。

 

 

 文章表現は個人的な作業であるが、相互批評や文集作成によってお互いにポテンシャルを引き出し合うことが可能であるという示唆を得た。

 

 

 

 

取り組みの位置づけ

 

「表現の大学」の戦略的FD

 

 

 

京都精華大学では2008年度から基本戦略「教学改革2012~時代を牽引する表現の大学へ~」を策定し、2012年までの戦略構想を基に、ビジョンの実現に向けてFD活動に取り組んでいる。

 

 

seikaFD.doc

 

 

 

 

■2011年度 日本語リテラシー

ichiduke_2011nichilite.ppt

 

■「日本語リテラシー」におけるPDCA

ichiduke_nichilitePDCA.ppt

 

 

 

 

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