地域で学ぶ・こどもと学ぶ「キッズシティすいた」

ー地域連携・協働学習のための実践ー

[谷村綾子] [千里金蘭大学・生活科学部児童学科講師]

 

千里金蘭大学児童学科では、地域連携行事「あそびのひろば」プログラムに取り組んでいる。学生の学び・成長および地域貢献というミッションをより明確にした形で推進するため、特に初年次教育を視野に入れながら2日間にわたる「キッズシティすいた」を実施した。こどもがこどものためのまちを創造する、という体験学習の取り組みの発祥はドイツのミニ・ミュンヘンである。(主催:千里金蘭大学児童学科  共催:吹田市民公益活動センター「ラコルタ」・教育支援人材認証協会「あそびのたね」事業  協力:NPO法人cobon)

 ・関連リンク:千里金蘭大学https://www.kinran.ac.jp/ 教育支援人材認証協会http://www.jactes.or.jp/ ミニ・ミュンヘンhppt://www.mi-mue.com

 ・キーワード:地域連携 協働学習 初年次教育 アクティブ・ラーニング 体験学習

取り組みの背景(児童学科アドミッションポリシー等)

・建学の精神より、本学では、社会貢献(高い志)、教養・品格教育、専門・技術教育の3本柱を掲げている。

・児童学科では、建学の精神のもと、幅広い知識と教養・実践力を身につけるとともに、子どもに寄り添う人間力を高め、「子ども支援のスペシャリスト」を目指している。

・中でも「豊かなコミュニケーション能力」「子どもの育ちをサポートする能力」「子どもの豊かな学びを支援する能力」などを身につけた学生の育成を目指している。

学生の現状(平成26年度後期児童学科授業アンケート結果)

・他学科に比べて「授業によって興味関心が引き起こされた」「自分で調べ、考える姿勢が得られた」という回答が多い。体験型、問題解決型の学習態度が通常授業時から比較的求められていることがわかる。

取り組みの位置づけ(初年次教育/学士課程教育/アクティブ・ラーニング

 ・児童学科では設立時より「地域活動プログラム」として基礎演習(「金蘭おやこクラブ」活動)や、子ども地域活動(「太陽の広場」活動)を必修科目とし、学士教育課程の中でも子ども達と関わる体験学習を重視し、吹田市「ファミリーミュージカル」への参加なども含め、地域貢献に努める姿勢も大切にしてきた。

・しかし、これらの必修科目が、学生の主体的な学びへの転換に自ずとは繋がっていかない点も見られた。学生の主体的な学びの姿勢をサポートすることで、受身での学習態度を減らし、FDに資することが目標とされた。

 

「キッズシティすいた」の取り組み内容

 小学生が「こども会議」を開き、自分たちの町をつくり、運営する。学生スタッフはこども会議をサポートし、当日の運営の準備、説明や調整をする。今回は近隣大学、高校にも呼びかけ、児童学科学生(有志)24名とともに、計6回の会議に自主的なミーティングを重ね、密度の濃いスタッフの関係を作りあげた。期間中、教育支援人材認証講座も併せて開講され、「子どもパートナー」申請資格取得学生は29名。
  • 学生参加校

関西大学、奈良教育大学、大阪教育大学、大阪保健福祉専門学校関西大学第一高等学校、春日丘高等学校、金蘭千里高等学校、東海大付属仰星高等学校

「キッズシティすいた」実施目的

①学生の勉強への動機付け(初年次教育の一環)

児童学科では特にAO入試等、学力試験を経ないで入学する学生が多く、その中には勉強への苦手意識が強い者も多い。またその反面で、体を動かすことには抵抗の少ない学生が多いことも特徴である。活動が好きであるという長所を生かしながら、将来の職について理解を深め、学習動機を明確にするきっかけづくりとしてイベント実施が有効ではないかと考えられた。

②体験的学習(経験値作り)の場の提供

教職・保育職の現場で求められる「実践力」「指導力」は、授業の中では指導しにくい力であり、「実践の場」「指導の場」を作り出すことが必要であった。学生がボランティア活動等で身につけた力を学内で発揮する場も必要であると考え、また学年を超えた仲間との協働学習を通じて、経験の豊富な先輩から経験を学びたい後輩への「知の伝達」が起こるとも意図した。

 ③学生の主体的学びの発展(問題発見・解決型学習、PBL,TBL、アクティブ・ラーニング)

キッズシティすいたでは、小学生が自分たちの町を創るために「こども会議」を開き、意見を出し合う。子ども達の意見は多様で、会議をサポートする学生にとっては、常にその場が問題発見・解決型学習の現場である。大きなイベントを作り上げていくためには仲間との協働も必要不可欠である。そのようなPBL、TBLが必然的に生まれ、学生の積極的関与が高まると予想された。

 ④職業倫理教育(専門職の自覚・態度・モラル形成)

教職志望学生であっても、小学生と一緒にすごす機会は限られている。実習での適応や就職後の適応に差が出るのは、こどもの実態を理解している(理想論や知識ではない)かどうかが一つの指標となる。子ども主体の活動を共にする中で、子ども達の能力や個性、また大人のかかわりについて理解を深めるきっかけになるのではと考えられた。

 

 

  

 スタッフ会議KJ法

 

子ども会議 考える 意見を言う KJ法

 

ウェルカムゲート 販売と買い物

  学生・小学生参加人数

児童学科学生数   (名)   小学生数 (名) 
1年生  14        藤白台 34
2年生 7   古江台 26
3年生 3   津雲台 26
他大学 3   佐竹台 23
専門学校 1   青山台 8
高校  5   桃山台 8
その他 1   南山田 6
33   高野台 4
      北山田 2
      山手 2
      その他 20
      159

 

 タイムテーブル(3月28日・29日)

9:00 キッズリーダー集合

9:30 イベントキッズ受付(3年生以上)

10:20 こども市長町開き宣言

12:00 お昼休み

14:00 イベントキッズ受付(1,2年生)

14:30 午後のまち開始

16:00 まち終了、振り返り、市長選

17:00 見送り、スタッフ振り返り

 

店舗(16)

携帯や 1台50スマイル
飲食店 パン300スマイル
スーパー レンタル10分20スマイル
花や 1本50スマイル
映画館 映画80スマイル
病院 健康診断50スマイル
レンタカー 大人向けツアー100スマイル
ハローワーク 仕事紹介
市役所 宣伝・清掃
銀行 宝くじ20スマイル

施設使用

学内使用部分:児童学科プレイルーム、本館1階、2階ホール、食堂

プロジェクタ、パソコン、スクリーン、ビデオカメラ、カメラ(情報センター)/プリンター、トースター、計量器、ストップウォッチ(個人教員)/マイク、スピーカー、電源コード、指揮台(施設管理)/炊飯器、身長計、体重計、座高計(食物栄養学科、看護学科備品)

 

 

取り組みからの示唆(気付きと課題)

・授業外のイベントと、初年次教育との関連付けが課題として浮上した。出席義務や成績評価の関わらないイベントとしての実施は主体的学びの促進にとって有意義であったが、学生全体への効果の還元を考えると限界もある。

・学生の主体的な学び(アクティブ・ラーニング)の促進という観点から、学内のラーニング・コモンズの利用を図るという観点が当初から欠落していた。図書館内ラーニング・コモンズではパソコンやipadの貸し出し、グループワーク用ワーキングスペースの提供(プロジェクタ設置)などを行っているが、学生への周知や教員側の利用促進への努力も必要であると考える(必要とされる機会はあったが、理解不足で利用できていなかった)。ラーニング・コモンズと連動した協働学習推進のための方策が今後必要であると認識された。

 

【学生コメント】

子どもと活動する中で、自分も成長できたことが楽しかったです。

「頭をつかう」とはこのことだなあと思いました。

子どもへのかかわりで大学1年生と2年生の違いを感じた。私達も成長している(大学2年生)

ボランティアとか前までまったく興味がなかったのですけど、キッズシティを通して好きになれました。またこのような活動があれば参加したいと思います(高校生)

【学長コメント】

お金の計算等、積極的に何かに参加する機会が与えられたり、接客の機会が与えられ、言葉使いの違いを感じ、子ども自身、大人と子ども扱いの違いを感じたに違いないと思われた。自分自身が中心になって、大人世界の一部を体験しえたのではないかと思っています。これらの経験は、子どもの成長に有益と感じました。

学科長コメント】

長期間(約半年)、多くの学生が自主的に参加しやり遂げた。子ども会議中、子どもの意見を生かしながら方向修正をする「教育的タクト」を振るうおとなの姿を、経験として学ぶ機会が多かったと思う。高校生や他大学生と協力し、信頼関係を築いていた。特に高校生からは「このような大学生になりたい!」と慕われていたのが印象的である。

担当教員コメント】 

こどもの「公共空間」について考えさせられた。みんなが一緒にやることだから、自然とルールが生まれる。学生はこどもたちの声を吸い上げ、一体感をもってイベントに取り組んだ。将来この経験が、子ども達にとっても、学生にとっても意義深いものになるだろうと感じた。

小学生コメント(実施後アンケートより)

デザインのみせではたらいて、作って、買ってくれたのがうれしかったです。(2年生)

家でてつだいをするよりやる気が出て、きんちょうしたし、たのしかった(3年生)

店員、店長として、お客さんとして、たくさん人とおはなしできたり、いっしょに仕事できていいけいけんになり、そして、とてもたのしかったです。(4年生)

最初はぜんぜん売れなかったけど、最後にはすごく売れたこと。(4年)

仕事が、思った以上に楽しかった(5年)

自分たちが作った映画を、おもしろかった、かわいかった!といってもらえてとても嬉しかったです。仕事するのも楽しく、最高に楽しかったです。(6年)

人と人のコミュニケーションの大切さがわかった(6年)

資料・文献

・『主体的学び』主体的学び研究所2014

・『学習する学校』ピーター・M・センゲ 英治出版 2014

Sue Fostaty Young・Robert J.Wilson『「主体的学び」につなげる評価と学習方法』東信堂2013

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