副業の確定申告のやり方を初心者向けに徹底解説

副業で収入を得るようになると、必ず立ちはだかるのが「確定申告」という壁です。会社員として働きながら副業をしている方の多くが、「自分は申告が必要なのか」「何から手をつければいいのか」と戸惑っているのではないでしょうか。
実際、税務署に問い合わせが集中する2月から3月にかけては、副業をしている会社員からの相談が年々増えているといわれています。スマホひとつで申告まで完結できる時代になった一方で、ルールそのものは複雑になっており、知らないまま放置してしまうと加算税や延滞税が発生するリスクもあります。
この記事では、副業をしている給与所得者の方が、迷わずに確定申告を終えられるよう、判定基準から具体的な手順、必要書類、節税のポイントまで一通り整理してお伝えします。
この記事で学べること
- 副業所得20万円ルールの正しい意味と住民税申告の落とし穴
- 副業の種類別に異なる所得区分の判定方法
- スマホだけで完結するe-Tax申告の具体的な手順
- 経費として計上できる項目と計上漏れを防ぐコツ
- 会社に副業を知られにくくする住民税の納付方法
そもそも副業で確定申告が必要になるケース
確定申告が必要かどうかを判断する最初のステップは、「所得」を正しく理解することです。多くの方が混同しがちですが、収入と所得はまったく別物です。
収入から経費を差し引いた金額が「所得」になります。たとえば、副業で30万円の売上があっても、必要経費が15万円かかっていれば、所得は15万円です。
給与所得者の20万円ルール
会社員やパート・アルバイトなど、勤務先から給与をもらっている方の場合、副業による所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。
ここで注意したいのは、20万円は「売上」ではなく「所得」だという点です。仮にクラウドソーシングで年間25万円稼いだとしても、通信費やソフト代などで7万円使っていれば所得は18万円となり、所得税の確定申告は不要となります。
副業が「給与」の場合は基準が異なる
副業先からも給与をもらっている場合、たとえば本業のほかにアルバイトを掛け持ちしているケースでは、20万円ルールの適用対象外です。本業以外の給与収入が1円でもあれば、原則として確定申告が必要になります。
副業の種類で変わる所得区分の判定

副業といっても、内容によって税法上の「所得区分」が変わります。区分が変わると、計算方法や使える控除も変わるため、最初に自分の副業がどこに該当するかを把握しておきましょう。
事業所得と雑所得の境目
クラウドソーシング、ライティング、デザイン、物販などの副業は、多くの場合「雑所得」または「事業所得」に分類されます。
個人的にこれまで相談を受けてきた経験では、副業レベルで月に数万円程度の収入の場合は雑所得として申告するのが現実的です。事業所得として認められるには、継続性・営利性・帳簿の保存などが求められ、副業年収300万円以下で帳簿書類の保存がない場合は雑所得扱いとなる、という運用が国税庁から示されています。
主な副業タイプと所得区分
業務委託・クラウドソーシング
雑所得(事業規模なら事業所得)として申告。源泉徴収されているケースが多い。
アルバイト・パート
給与所得。源泉徴収票をもとに申告書に転記する。
物販・せどり・ハンドメイド
雑所得または事業所得。在庫管理と仕入帳簿が重要になる。
アフィリエイト・広告収入
雑所得(事業規模なら事業所得)。サーバー代やドメイン代は経費計上可。
不動産・株式・FX
不動産所得、譲渡所得、雑所得など個別の区分が適用される。
確定申告の具体的なやり方とステップ

必要だと判断できたら、いよいよ実際の申告作業に入ります。近年はe-Taxの普及で、自宅から数十分で完了できるようになっています。大きく分けて4つのステップで進めていきましょう。
ステップ1 必要書類を集める
まず、申告に使う書類を手元に揃えます。
確定申告で準備するもの
ステップ2 収入と経費を集計する
副業の年間収入を集計します。源泉徴収されている場合は、源泉徴収額もメモしておきましょう。
続いて経費の集計です。副業で計上できる代表的な経費としては、通信費、消耗品費、書籍代、取材交通費、サブスクのソフト代、業務用の機材購入費などがあります。自宅で作業している場合は、家賃や光熱費の一部を「家事按分」で経費にできるケースもあります。
ステップ3 申告書を作成する
もっとも手軽な方法は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うやり方です。質問に答えながら入力していくだけで、申告書が自動で作成されます。
マネーフォワード クラウド確定申告、freee、弥生のオンライン版などのクラウド会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードと連携して、取引データを自動で取り込めます。経験上、副業の取引数が月に20件を超えるあたりから、会計ソフトを使ったほうが圧倒的に楽になります。
ステップ4 提出と納税
申告書ができたら、提出方法を選びます。
最速・控除あり
操作性◎
時間に余裕が必要
混雑期は要注意
申告期間は原則として翌年2月16日から3月15日までです。納税が必要な場合は、3月15日までに振替納税、クレジットカード、コンビニ納付、e-Tax経由のダイレクト納付などの方法で納める必要があります。
スマホだけで確定申告を完結させる手順

PCがない、もしくは苦手という方でも、マイナンバーカードとスマホがあればe-Taxで申告が完結します。
事前準備するもの
マイナンバーカード、マイナンバーカード読み取り対応のスマホ、マイナポータルアプリのインストール、利用者識別番号の取得(初回のみ)が必要です。
申告画面での入力の流れ
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にスマホでアクセスし、「作成開始」を選択します。質問形式で「給与の収入はありますか」「副業の収入はありますか」と聞かれるので、当てはまるものに回答していくだけです。
源泉徴収票はカメラで撮影することで自動読取できる機能もあり、入力ミスを減らせます。最後にマイナンバーカードを読み取って電子署名を行えば、その場で送信完了です。
副業の確定申告で多い間違いと節税のコツ
確定申告は一度やれば翌年からは比較的スムーズに進められますが、最初の年は思わぬ落とし穴に引っかかりがちです。
よくある間違い
多くの方が間違えやすいのが、「振込額」を収入として記入してしまうケースです。クラウドソーシングなどでは、システム手数料や源泉徴収が差し引かれた金額が振り込まれますが、申告すべきは差し引かれる前の総額(売上ベース)です。
また、20万円以下だから申告不要だと判断して住民税の申告を怠るケースも多く見られます。後から自治体に呼び出されて遡って申告するのは精神的にも負担が大きいので、最初から正しく対応しておくほうが安心です。
節税のために押さえておきたいポイント
やっておくべきこと
- 経費の領収書を月別で整理
- 家事按分の根拠(使用時間や面積)をメモ
- ふるさと納税やiDeCoの控除証明書を保管
- 事業規模なら青色申告を検討
避けたいこと
- プライベートの支出を経費に混ぜる
- 領収書を捨ててしまう(7年保存)
- 無申告で放置する(加算税の対象)
- 住民税の申告を忘れる
会社にバレにくくする住民税の納付方法
副業を勤務先に知られたくないという方にとって、確定申告で最も気をつけたいのが「住民税の納付方法」です。
申告書の第二表に「住民税に関する事項」という欄があり、給与・公的年金等以外の所得にかかる住民税の徴収方法を選ぶ箇所があります。ここで「自分で納付(普通徴収)」を選んでおくと、副業分の住民税は自宅に届く納付書で自分で支払う形になり、本業の給与から天引きされる住民税額には影響しません。
ただし、自治体によっては副業が給与所得の場合、普通徴収を選んでも特別徴収にまとめられるケースがあります。よりくわしい対策は副業がバレない方法をまとめた解説で確認しておくと安心です。あわせて副業の意味と種類の基本を理解しておくと、自分の副業がどのタイプかを判断しやすくなります。
青色申告と白色申告の違い
副業が事業所得として認められる規模になってきたら、青色申告を検討する価値があります。
青色申告の主なメリット
青色申告には事前に「青色申告承認申請書」を提出する必要があり、複式簿記での記帳など要件もあります。副業レベルではまず白色申告から始めて、事業規模に育ってきたら青色に切り替える、という流れが現実的です。
よくある質問
副業の所得が20万円以下なら本当に何もしなくていいですか
所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。お住まいの自治体の窓口に確認するか、自治体のホームページから申告書をダウンロードして提出しましょう。医療費控除やふるさと納税のワンストップ特例が使えない場合は、20万円以下でも確定申告したほうがトータルで得になるケースもあります。
副業を始めたばかりで赤字でも申告は必要ですか
事業所得として申告できる規模であれば、赤字でも申告するメリットがあります。給与所得と損益通算ができ、本業で源泉徴収されていた税金が還付される可能性があるためです。ただし、雑所得の場合は損益通算ができない点に注意が必要です。
領収書がない経費はどうすればよいですか
電車賃やバス代など領収書が出ない交通費については、出金伝票やメモで日付・行先・金額・目的を記録しておけば経費として扱えます。クレジットカード明細や銀行の振込履歴も支払いの証拠になります。
申告期限を過ぎてしまったらどうなりますか
期限後申告となり、無申告加算税や延滞税が発生します。気づいた時点でできるだけ早く自主的に申告すれば、加算税が軽減される措置があります。放置せず、まずは税務署に相談することをおすすめします。
税理士に依頼するべきタイミングはありますか
副業所得が年間300万円を超えてきた、複数の所得区分が絡む、不動産や暗号資産が関わるといったケースでは、税理士への相談を検討する価値があります。費用は内容によりますが、節税効果や時間の節約を考えると元が取れる場合も少なくありません。初年度だけ依頼して、翌年から自分でやる方も多いです。
確定申告を機に副業との付き合い方を見直す
確定申告は面倒に感じる作業ですが、自分の副業を「数字」で振り返る貴重な機会でもあります。1年間の売上と経費を整理することで、どの仕事が収益性が高いのか、どこに無駄な支出があるのかが見えてきます。
最初の1回さえ乗り越えれば、翌年からは流れもつかめて、所要時間は半分以下になります。スマホでの申告に慣れておけば、副業が育ったときにもスムーズに対応できるはずです。
無理のないペースで記録を続け、毎年の申告を「健康診断」のように受け止めていくことが、長く副業を続けていくうえでの土台になっていくのではないでしょうか。
